ポワンカレ計量とは? わかりやすく解説

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ポワンカレ計量

(ポアンカレ計量 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 07:54 UTC 版)

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数学におけるポアンカレ計量(ポアンカレけいりょう、: Poincaré metric)は、アンリ・ポアンカレにその名を因む、二次元の負曲率一定曲面を記述する計量テンソルである。この計量は、双曲幾何リーマン面において様々な計算を展開する際に広く用いられる。

二次元の双曲幾何の表現には、互いに同値な三種類がよく用いられる。ひとつは上半平面上の双曲空間のモデルを与えるポアンカレ上半平面模型、もうひとつは単位円板上の双曲空間のモデルを与えるポアンカレ円板模型であり、このふたつは等角写像(共形写像)およびメビウス変換によって与えられる等距写像によって関連付けられる。いまひとつの表現は穴あき円板上のもので、その関係性はq-類似によっても表される。以下これらについて述べる。

リーマン面上の計量についての概観

複素数平面上の計量を一般に、λ を z および z を変数とする正実数値函数として

ノーム q の函数としての、穴あき円板座標系に関する J-不変量(楕円モジュラー函数)
ポアンカレ円板座標系に関する J-不変量。この円板は先に挙げた標準座標系を90度回転したものであることに注意。

上半平面から円板への写像でもう一つ広く用いられるものが、q-写像

である。ここに qノームで τ は半周期比を表す。前節での記法を用いれば、τ は上半平面 Im τ における座標である。q = 0 はこの写像のに含まれないから、この写像は穴あき円板に値を取るものになっていることに注意。

上半平面上のポアンカレ計量から、この q-円板上の計量

が誘導される。この計量に関するポテンシャルは

で与えられる。

シュヴァルツの補題

ポアンカレ計量は調和函数の空間の上に定義される縮小写像を成す。このことはシュヴァルツの補題の一般化であり、シュヴァルツ-アールフォルス-ピックの定理と呼ばれる。

関連項目

参考文献

  • Hershel M. Farkas and Irwin Kra, Riemann Surfaces (1980), Springer-Verlag, New York. ISBN 0-387-90465-4.
  • Jurgen Jost, Compact Riemann Surfaces (2002), Springer-Verlag, New York. ISBN 3-540-43299-X (See Section 2.3).
  • Svetlana Katok, Fuchsian Groups (1992), University of Chicago Press, Chicago ISBN 0-226-42583-5 (Provides a simple, easily readable introduction.)



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