フォールディングの過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 13:42 UTC 版)
「タンパク質ドメイン」の記事における「フォールディングの過程」の解説
フォールディングとは、タンパク質が生物学的に意味を持った形になるための空いた空間を探す過程である。サイラス・レヴィンソールの提唱したレヴィンソールのパラドックスでは、ある平均サイズのタンパク質が最低エネルギーの状態を見つける前に可能な全てのコンフォメーションを調べるとすると10億年以上の時間がかかってしまうことが述べられている。しかしタンパク質のフォールディングには通常0.1秒から1000秒程度の時間しか要さず、タンパク質のフォールディングには道筋があることが示唆された。 実験的、理論的な進歩によって、フォールディングはエネルギーの観点から見られるようになり、フォールディングの動力学は部分的に折り畳まれた構造の段階的な組織化と見なされるようになった。これはフォールディングファンネル(フォールディングの漏斗)という言葉で表される。つまり、折り畳まれていないタンパク質はとりうるコンフォメーションが多くあるが、一度折り畳まれたタンパク質の取りうるコンフォメーションは少なくなり、また三次構造が形成されるにつれてエネルギーやエントロピーが低下してくることを暗示した言葉である。全体の折り畳みによって内部の鎖の自由エネルギーも低下し、徐々に取れるコンフォメーションの数を減らしながら1つの自然状態に向かっていく。
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