フェレドキシンの種類と酸化還元様式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/16 00:25 UTC 版)
「フェレドキシン」の記事における「フェレドキシンの種類と酸化還元様式」の解説
フェレドキシンはタンパク質アミノ酸配列や保有している生物よりはむしろFe-Sクラスターの種類によって分類される。Fe-Sクラスターは以下の種類から構成される。 [2Fe-2S] 鉄および硫黄(不安定硫黄)が2つずつ結合している。植物や動物のフェレドキシンはこの形状のみである。真正細菌および古細菌(高度好塩菌)もこのフェレドキシンを有する。 [3Fe-4S] [4Fe-4S]が酸化状態でこの形状になるといわれているが、この形状を生理学的に利用する生物も存在する。真正細菌、古細菌のみが有する。 [4Fe-4S] このクラスターは完全な立方体を形成しており、フェレドキシンおよび高電位鉄-硫黄タンパク質にみられる。より嫌気的環境で機能する。真正細菌および古細菌(メタン菌、好熱菌)が有する。 また、1つのフェレドキシン内に複数のクラスターを有するものもあり、そのようなフェレドキシンは以下の表記がなされる。 [3Fe-4S] と [4Fe-4S] を1つずつ持つもの - [7Fe-8S]フェレドキシン [4Fe-4S] を2つ持つもの - [8Fe-8S] あるいは2[4Fe-4S]フェレドキシン メタン菌はポリフェレドキシンという[4Fe-4S]クラスターを12個有するフェレドキシンを持っている。このようにフェレドキシン内のFe-Sクラスターの種類と数は多様である。 フェレドキシンの酸化還元様式はそれぞれのクラスターで以下のようになっている。 [2Fe-2S] 2 Fe3+ (酸化型) ⇄ {\displaystyle \rightleftarrows } Fe3+•Fe2+ (還元型) ⇄ {\displaystyle \rightleftarrows } 2 Fe2+ (超還元型*) [3Fe-4S] 3 Fe3+ (超酸化型*) ⇄ {\displaystyle \rightleftarrows } 2Fe3+•Fe2+(酸化型) ⇄ {\displaystyle \rightleftarrows } 1Fe3+•2Fe2+ (還元型) [4Fe-4S] 3Fe3+•Fe2+ (超酸化型*) ⇄ {\displaystyle \rightleftarrows } 2 Fe3+•2Fe2+ (酸化型) ⇄ {\displaystyle \rightleftarrows } Fe3+•3Fe2+ (還元型) なお、*印のついた状態は生理状態では存在せず、精製したフェレドキシンに還元剤や酸化剤を加えることにより見ることのできる状態である。こうした酸化還元状態は電子スピン共鳴(ESR、あるいは常磁性共鳴、EPR)によって調べることができるが、2つの鉄のスピンが互いに打ち消しあうため[2Fe-2S]型のスペクトルは還元状態でしか見ることができない。
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