ピーネウスの救済、シュムプレーガデスの岩
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 16:40 UTC 版)
「アルゴナウタイ」の記事における「ピーネウスの救済、シュムプレーガデスの岩」の解説
アルゴナウタイは、サリュミュデーソスの地に住む盲目の予言者ピーネウスに航海の助言を求めた。ピーネウスは、人間の未来を予言したために罰せられ、盲目にされたうえ、神々はこの地にハルピュイアを遣わした。ピーネウスの食事が用意されると、ハルピュイアたちが空から飛び降りてきてこれをさらってしまう。残った食べ物も臭気に満ちて食べることができなかった。ピーネウスがハルピュイアたちから自分を救ってくれれば助言すると応じたので、彼らはピーネウスの食卓を用意した。ハルピュイアたちが食べ物を奪うと、翼を持つカライスとゼーテースが刀を抜き、これを追って飛び立った。 ハルピュイアは、ボレアースの子供たちの手にかかって死ぬこと、一方ボレアースの子供たちもハルピュイアを追いかけて捕まえることができなかったときには死ぬことが運命づけられていた。ハルピュイアの一人はペロポネーソス半島のディグレース河に落ち、その名をとってハルピュースと呼ばれるようになった。もう一人はプロポンティスを経てエキーナデス群島まできた。ここでハルピュイアは方向を変え(estraphe)、海岸で疲労のあまり追跡者とともに墜落したため、この島は「ストロパデス」と呼ばれるようになった。 救われたピーネウスは、アルゴナウタイに航海の路を示し、シュムプレーガデスの岩について忠告した。シュムプレーガデスは巨大な岩と岩が激突して海路を塞ぐ難所で、岩の上方には深い霧がかかり、岩が動いて衝突する音が絶えず轟々と鳴り響いていた。ピーネウスは一羽の鳩を岩の間に放ち、無事に通過できたら通っても良いといった。いわれたとおりに鳩を放つと、飛ぶ鳩の尾の端を岩が合して切り取った。岩が再び引いたときにアルゴナウタイは力一杯漕ぎ、ヘーラーの助けもあって船は通り抜けることに成功したが、艫の端の部分が岩に切り取られてしまった。このとき以来、シュムプレーガデスの岩は動かなくなった。もし船が一隻でも通り抜けたときは、岩は全く動かなくなることが定められていたのである。
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