ピル治験の背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 14:59 UTC 版)
「ピル治験女性バラバラ殺人事件」の記事における「ピル治験の背景」の解説
当時は数年以内に日本国内でピルが販売される情勢にあると見られていたため、日本国内外の製薬会社が開発競争に鎬を削っていた時期でもあった。この治験ツアーを企画した西ドイツの会社も、国内販売に参入するために日本人女性のデータが必要になったという。 しかし当時の厚生省によれば、ピルに限らず輸入用の新薬製造承認申請の審査基準においては、「国内で」日本人女性を対象にした治験データが必要であり、海外での日本人女性の治験データは審査対象とはならず、必ずしも必要としない点を指摘した。厚生省の薬務局捜査一課は、このケースは違法ではないとしながらも、「海外の製薬会社が治験を行う場合は、国内の大手製薬会社や大学に依頼するのが通常であり、日本の女性をわざわざ海外に連れ出すなど、いまだかつて聞いたことがない」と述べた。さらに業界関係者なども、「なぜ多額の費用をかけてまで治験ツアーを行うのかよくわからない」と訝しげに語った。 一方で、この事件が起こる以前の1984年頃から日本国内の一部業者が口コミで大学生などを対象に治験ツアーを募り、西ドイツに学生を定期的に派遣していたという話もある。それを裏付けるかのように、西ドイツの製薬会社側の説明によれば、以前から日本の製薬会社の依頼を受けて頻繁に新薬の治験を行っていたとしている。今回の一件に関しては、この当時国内でピルを対象にした治験が認可されていなかったために、その規制を逃れるために依頼したとも見られている。 なお、このような治験ツアーに参加した女性は、一部のマスメディアから『じゃぱゆきさん』ならぬ「薬ゆきさん」と揶揄されることにもなった。
※この「ピル治験の背景」の解説は、「ピル治験女性バラバラ殺人事件」の解説の一部です。
「ピル治験の背景」を含む「ピル治験女性バラバラ殺人事件」の記事については、「ピル治験女性バラバラ殺人事件」の概要を参照ください。
- ピル治験の背景のページへのリンク