ヒルベルト–セールの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/05 20:33 UTC 版)
「ヒルベルト–ポワンカレ級数」の記事における「ヒルベルト–セールの定理」の解説
A をアルティン環(例えば体)として、M を A[x0, ..., xn] 上の有限生成次数付き加群で、 deg xi = di とする。このとき M のポワンカレ級数は、Πi (1 − tdi) で割られる整係数の多項式である。今日の標準的な証明は、n に関する帰納法である。ヒルベルトのもともとの証明はヒルベルトの syzygy 定理(英語版)(M の射影分解)を利用しており、これはよりホモロジー的な情報を与える。 n についての帰納法による証明を与える。n = 0 のとき、M は長さ有限だから、k が十分大きければ Mk = 0 である。次に、定理は n − 1 に対して正しいとし、N(l)k = Nk + l と書いて、次数付き加群の完全列(次数ごとに完全) 0 → K ( − d n ) → M ( − d n ) → x n M → C → 0 {\displaystyle 0\to K(-d_{n})\to M(-d_{n}){\overset {x_{n}}{\to }}M\to C\to 0} を考える。長さは加法的だから、ポワンカレ級数もまた加法的である。したがって P ( M , t ) = − P ( K ( − d n ) , t ) + P ( M ( − d n ) , t ) − P ( C , t ) {\displaystyle P(M,t)=-P(K(-d_{n}),t)+P(M(-d_{n}),t)-P(C,t)} が成り立つ。 P ( M ( − d n ) , t ) = t d n P ( M , t ) {\displaystyle P(M(-d_{n}),t)=t^{d_{n}}P(M,t)} と書くことができる。K は xn によって殺されるから、それを A[x0, ..., xn − 1] 上の次数付き加群と見ることができる。同じことは C に対しても正しい。よって定理が帰納法の仮定から従う。
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