バリトン_(弦楽器)とは? わかりやすく解説

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バリトン (弦楽器)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/28 06:31 UTC 版)

バリトン(1880年の音楽辞典より)
バリトン

バリトン(Baryton、: Viola di bardone)は、ヴィオラ・ダ・ガンバと似た擦弦楽器であり、ネックにフレットを備え、6本ないし7本のガット弦が張られるが、さらに9本から24本の金属の共鳴弦(主に12本)を持つ。共鳴弦はガット弦の振動に共鳴して鳴り、さらに左手の親指で弾いて演奏される。オーストリア・南ドイツ・東欧の一部で18世紀末まで用いられたが、演奏するのが非常に難しく、また調律も難しいために廃れ、今日では演奏される機会は稀である。

歴史

ヴュルテンベルク公国のクリスティアン・ウルリヒ公(1704没)に、ヨハン・ゲオルク・クラウゼの楽曲 "9 partien auf die Viola Paradon" が捧げられたというのが、バリトンに関する最古の記述とされている[1]

バリトンの曲目として最もよく知られているのは、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが、彼のパトロンでありこの楽器を嗜んだエステルハージ侯爵の為に書いた175曲である。これらのうち126曲は、ヴィオラ、チェロ、バリトンの三重奏である。これらの曲は1766年から1775年にわたって書かれた[2]。 エステルハージ侯が愛用していたバリトンは、バスのヴィオラ・ダ・ガンバのように調律されていた(AA, D, G, c, e, a, d)。

復元演奏

クラシック音楽界での古楽の復興運動によりバリトンは復元・演奏されるようになり、レコーディングされたものも聴くことができる。

最初にヴィオラ・ダ・ガンバもしくはバリトンの復興に関心を寄せたのは、おそらく、ミュンヘンのクリスティアン・デーベライナー ドイツ語版である。1934年、彼はミュンヘンの著名な弦楽器商フェルディナント・ヴィルヘルム・ヤウラに、ジーモン・シェドラーのバリトン(1782)の模造品の制作を依頼した。近代最初のバリトン演奏会は1936年にミュンヘンで開催され、ハイドンの三重奏が主な演目であった。この楽器は、ヴァスケス史的弦楽器コレクションの一部を成し、オルフェオン財団による演奏会で頻繁に用いられる。ヤウラのバリトンの完全なドキュメンテーションが、オルフェオン財団のウェブサイトで利用できる[3]

2009年、アイゼンシュタットにあるエステルハージ宮殿(en)にて、エステルハージ・アンサンブル(バリトン:Michael Brüssing)が、ハイドン作曲によるバリトン曲全曲録音を成し遂げた[4]

スイスの作曲家クラウス・フーバーが、"À l'âme de marcher sur ses pieds de soie"(2004)の中で目立つバリトンのソロを書いている。

現代のバリトン演奏者

  • Jeremy Brooker
  • Kazimierz Gruszczyński
  • José Manuel Hernández
  • John Hsu
  • Roland Hutchinson
  • Philippe Pierlot
  • José Vázquez
  • Michael Brüssing

脚注

  1. ^ 岸辺成雄『音楽大辞典』1924-1925頁
  2. ^ Hsu, cited below
  3. ^ Baryton after Simon Schodler, 1782 by Ferdinand Wilhelm Jaura, 1934, The Orpheon Foundation, http://orpheon.org/OldSite/Seiten/Instruments/other/baryton.htm 
  4. ^ 『エステルハージ・アンサンブル』https://www.violadagamba.co.at/esterhazyensemble/?page_id=358 

参考文献

  • Much of the information above is taken by program notes written by barytonist (and Cornell University professor) John Hsu for his performance of trios #97, 111 87, and 101 with violist David Miller and cellist Fortunato Arico on ASV (GAU 104, 1986).
  • Lucy Robinson's evaluation appeared in The Musical Times (1981), p. 540. (available on JSTOR)
  • 岸辺成雄『音楽大辞典』、平凡社、1983年、ISBN 978-4-582-12500-9

外部リンク



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