バマー人民解放軍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/30 11:26 UTC 版)
バマー人民解放軍 | |
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ဗမာပြည်သူ့လွတ်မြောက်ရေးတပ်တော် | |
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バマー人民解放軍軍旗
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活動目的 | フェデラル連邦主義 |
本部 | カレン民族解放軍第5旅団支配地域[1] |
活動地域 | カレン州 シャン州北部[1] |
兵力 | 1000+[2] |
関連勢力 |
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敵対勢力 | |
戦闘 | ミャンマー内戦 |
ウェブサイト | bplarmy |
バマー人民解放軍(バマーじんみんかいほうぐん、ビルマ語: ဗမာပြည်သူ့လွတ်မြောက်ရေးတပ်တော်、英語: Bamar People's Liberation Army、 略称:BPLA)は、ミャンマーの武装組織である[10][11]。ミャンマーの著名な詩人かつ人権活動家であるマウンサウンカー[注釈 1][12]を含む、2021年ミャンマークーデター抗議デモ参加者17人によって2021年4月17日に結成された[13]。BPLAのロゴは、円形に配置された9枚の孔雀の羽で構成されたものであり、これは最後のビルマ国王の象徴である[11]。
BPLAは国民統一政府(NUG)の支援を受けず、いずれの少数民族武装勢力(EAO)の指揮下にもなく、独立して活動しており、自立型PDFに分類される[14]。兵力は約1,000人と言われ、ビルマ族が多数を占める[12]。
目的
マウンサウンカーがBPLAを設立したのは、カレン族、カチン族、ラカイン族などの他民族と違ってビルマ族には独自の反政府武装組織がないという考えに基づいている。そして、ビルマ族が他民族を支配してきたことを率直に認め、その支配を終わらせ、連邦民主制の下で多様な民族グループの結束を強化することを目的としている。また、マウンサウンカーは文民政権が誕生すればBPLAは解散するとしている[13][12]。
BPLAのホームページには以下のような政治目的が掲げられている[15]。
- 独裁政権の崩壊とすべての人々の抑圧的な支配からの解放。
- 人種優越主義の終焉と平等と自己決定の達成。
- 民主主義と人権を保証する新しい連邦国家の建設。
- 新しい連邦連合の構築において、バマー連邦ユニット(または)バマー州を連合メンバーとして含む。
- 公衆の自由と安全を守る。
活動
BPLAは、2021年4月17日、カレン民族解放軍(KNLA)第5旅団の領土・カレン州・パーアン県・ハプン郡区(別名:Mutraw)で結成された。KNLA副司令官で第5旅団の事実上のリーダー・ソー・ボーチョーヘー(Saw Baw Kyaw Heh)中将とマウンサウンカーとの個人的親交によるものである[12]。

BPLAは、KNLA第5旅団とアラカン軍(AA)の下で軍事訓練を受けた後、カレン州(BPLAは「第107軍管区」と呼ぶ)でKNLA第5旅団、第1旅団、第3旅団、カレンニー州でカレンニー諸民族防衛隊(KNDF)の下で軍事作戦に参加した。またシャン州北部(同「第203軍管区 」)でも、ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)第611旅団 の下で軍事作戦に参加し、2023年の1027作戦にも約200人の兵士を擁して参加した。三兄弟同盟の中で唯一、タアン民族解放軍(TNLA)とのみ関係が希薄だが、2025年7月の時点では、今後連携を深めていく予定とのことである。また、マウンサウンカーによると、当初、BPLAが独自に購入した兵器はライフル銃11丁のみで、残りはKNU、AA、MNDAAから借り受けたものなのだという[16][12]。
2024年9月、マウンサウンカーは、BPLAの拠点を、アニャー地域(同「第308軍管区」)[注釈 2]へ移転する意向を発表した[17]。その際、マウンサウンカーは「ビルマ族から構成される軍隊にとって、ビルマ族の地域に拠点を置き、そこで活動することはわれわれのビジョンの重要な部分だ」というメッセージを発した[18]。
組織
組織構造
BPLAは、マウンサウンカー総司令官(CC)を頂点に、最高作戦責任者(COO)、副作戦責任者(DOO)、最高政治責任者(CPO)、副政治責任者(DPO)、そして財務と情報を担当する将校らによって支えられている、トップダウン型組織である。各部隊の司令官は軍事作戦における主要な決定や兵站形成において決定権を持っておらず、すべてマウンサンカーの決定を仰がなければならない。ただし、メンバーの意見は採り入れるとしている[12]。
また、BPLAは、能力と経験に勝る同盟相手の少数民族武装勢力(EAO)に敬意を表すために[注釈 3]、階級制度は導入せず、任務によってのみメンバーを区分している[12]。メンバーには訓練段階から軍服を支給し、軍事訓練の課程には連邦制をテーマにした授業もある。メンバーは革命が終わるまで奉仕することを誓約しなければならず、メンバー個人が公的な寄付を求めることや、現金を保有することを禁じている。 寄付希望者はBPLAにに直接寄付することができ、透明性を確保するため、寄付金はBPLAのソーシャルメディアページに掲載される[19]。
兵力
約1,000人。2021年以降の戦死者数は約20人[12]。
活動地域
- 第107軍管区 - カレン州
- 第203軍管区 - シャン州北部
- 第308軍管区 - アニャー地域(2025年7月の時点で予定)[12]
脚注
注釈
- ^ マウンサウンカーは元国民民主連盟(NLD)の党員だったが、党に失望して2018年に離党した経験を持つ。また、2015年には彼が作った詩の1つがテインセイン政権の怒りを買い、6か月間投獄された。
- ^ マグウェ地方域、ザガイン地方域、マンダレー地方域。「ドライゾーン」とも言う。
- ^ たとえば、自分たちの隊の「大尉」と相手の「大尉」では、階級が同じでも能力・経験が違いすぎて釣り合わず、相手に対して無礼ということだろう。
出典
- ^ a b c d e “‘Operation 1027 is not limited to northern Shan State’ – BPLA leader Maung Saungkha” (英語). Myanmar Now. (2023年12月8日) 2024年3月4日閲覧。
- ^ “တရုတ်နယ်စပ်က ရိုင်ဖယ်များနှင့် အားမာန်ပြည့်လာသည့် တပ်ဖွဲ့သစ်များ [Armed groups rejuvenated by rifles from Chinese borderlands]” (ビルマ語). Irrawaddy. (2023年6月6日)
- ^ “Message from Lieutenant General Bao Jue Hai, Deputy Commander of the Karen National Liberation Army, to the Graduation Ceremony of the Burmese People's Liberation Army”. (2022年4月8日) 2022年4月7日閲覧。
- ^ BPLA (2023年5月31日). “KNDF ဖွဲ့စည်းထူထောင်ခြင်း (၂)နှစ်ပြည့်အတွက် BPLA က ပေးပို့သော သဝဏ်လွှာ” [BPLAによるKNDF設立2周年記念メッセージ] (ビルマ語). 2024年3月4日閲覧。
- ^ “NUG and BPLA will cooperate militarily” (Burmese). RFA Burmese. (2022年10月26日) 2022年10月27日閲覧。
- ^ “AA congratulates People’s Revolution Alliance-Magway” (英語). Myanmar Peace Monitor. (2023年3月29日) 2024年3月4日閲覧。
- ^ Fishbein, Emily; Jaw Tu Hkawng; Zau Myet Awng (2023年11月3日). “Northern offensive brings ‘new energy’ to Myanmar’s anti-coup resistance” (英語). Al Jazeera 2024年3月4日閲覧。
- ^ “Burmese People's Liberation Army thanks AA for military training support” (英語). (2022年10月18日) 2024年3月4日閲覧。
- ^ Ko Oo (2023年3月8日). “Myanmar’s Spring Revolution Aided by Ethnic Kokang Armed Group” (英語). Irrawaddy 2024年3月4日閲覧。
{{cite news}}
: 名無し引数「Myanmar’s Spring Revolution Aided by Ethnic Kokang Armed Group」は無視されます。 (説明)⚠ - ^ Nijhuis, Minka (2022年4月6日). “Diep in de jungle trainen Myanmarezen voor de strijd tegen de junta” (オランダ語). NRC. 2022年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月7日閲覧。
- ^ a b “Myanmar's rebellion, divided, outgunned and outnumbered, fights on” (英語). The Washington Post. (2022年3月30日). オリジナルの2022年4月2日時点におけるアーカイブ。 2022年4月7日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i CAGc 2025, pp. 15–17.
- ^ a b Saungkha, Maung (2022年2月9日). “Ready for war: my journey from peaceful poet to revolutionary soldier” (英語). the Guardian. 2022年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月7日閲覧。
- ^ CAGa 2025, p. 15.
- ^ Wansai, Sai (2023年9月15日). “BPLA AND BNRA: The young Bamar generation leaders on the right track” (英語). Shan Herald Agency for News. 2025年7月15日閲覧。
- ^ CAGa 2025, pp. 48–49.
- ^ “Bamar Armed Group Aims to Break Junta Rule in Central Myanmar”. The Irrawaddy (2024年11月12日). 2025年7月15日閲覧。
- ^ Wansai, Sai (2023年9月15日). “BPLA AND BNRA: The young Bamar generation leaders on the right track” (英語). Shan Herald Agency for News. 2025年7月15日閲覧。
- ^ Frontier (2022年7月13日). “The PDFs marching to their own tune” (英語). Frontier Myanmar. 2025年7月15日閲覧。
参考文献
- A Scalable Typology of People’s Defence Forces in Myanmar. Centre on Armed Groups. (2025)
- Funding the People's Defence Forces in Myanmar. Centre on Armed Groups. (2025)
- Towards a Deeper Understanding of Myanmar’s People’s Defence Forces. Centre on Armed Groups. (2025)
外部リンク
- バマー人民解放軍 (@maung_saungkha) - X(旧Twitter)
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