ハロゲン化炭化水素から
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/07/05 09:26 UTC 版)
「ジチオカルボン酸」の記事における「ハロゲン化炭化水素から」の解説
メチル基の水素原子がハロゲン X = Cl, Br で置き換えられた化合物を硫黄源と反応させると、ジチオカルボン酸が生成する。ハロゲン元素が1個、2個、3個の前駆体について合成法が知られている。硫黄源としては単体硫黄 S8 か、硫化水素 H2S のアルカリ金属塩 MSH、M2S などが用いられる。置換基 R は主にフェニル基などの芳香族置換基である。 ハロゲンが1個の場合、単体硫黄をナトリウムメトキシドの存在下に作用させる。 R−CH2X + 1/4 S8 + 2 NaOCH3 → R−C(=S)SNa + NaX + 2 CH3OH 溶媒としてメタノールを用い、還流する温度で加熱する。発生させたジチオカルボン酸をピペリジンの塩として単離してから、さらなる反応に使用する場合もある。 ハロゲンが2個の場合、水硫化カリウムと反応させると、ジスルフィドとともにジチオカルボン酸のカリウム塩を与える。 3 R−CH2X2 + 7 KSH → R−CH2−S−S−CH2−R + R−CH2 + R−CH2C(=S)SK + 3 H2S + 6 KX 最初のジチオカルボン酸はこの反応で合成された。 ハロゲンが3個の場合、硫化ナトリウムや水硫化ナトリウム(またはカリウム)、もしくはトリチオ炭酸塩を使うとジチオカルボン酸に変換できる。 R−CX3 + 2 K2S → R−C(=S)SK + 3 KX R−CX3 + 4 NaSH → R−C(=S)SNa + 3 NaX + 2 H2S R−CX3 + 2 Na2CS3 → R−C(=S)SNa + 3 NaX + 2 CS2 クロロホルムと硫化カリウムの反応によって、ジチオギ酸 HC(=S)SH が合成されている。
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