トランスバールとは? わかりやすく解説

556の専門辞書や国語辞典百科事典から一度に検索! Weblio 辞書 ヘルプ
Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > トランスバールの意味・解説 

トランスバール【Transvaal】


トランスヴァール共和国

(トランスバール から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/24 01:22 UTC 版)

南アフリカ共和国
Zuid-Afrikaansche Republiek(オランダ語)



1852年 - 1902年
(国旗) (国章)
国歌: トランスヴァールの国歌

トランスヴァール共和国の位置(1890年)
公用語 オランダ語
ケープ・オランダ語が常用された
首都 プレトリア
大統領
1857年 - 1860年 マルティヌス・プレトリウス
面積
1896286,053km²
変遷
サンド・リバー協定英語版 1852年
第二次ボーア戦争の勃発1899年10月11日
フェリーニヒング条約1902年5月31日
時間帯UTC +2(DST: なし)
1896年のヨハネスブルク

トランスヴァール共和国(トランスヴァールきょうわこく、オランダ語: Transvaal Republiek英語: Transvaal Republic)、正式名称南アフリカ共和国(みなみアフリカきょうわこく、オランダ語: Zuid-Afrikaansche Republiek英語: South African Republic[1]は、バール川の北側(現在の南アフリカ北部)にて、1852年にボーア人が建国し、1902年まで存在した共和国。首都は、プレトリア

トランスヴァール」は、「Trans(向こう側)+ Vaal River(バール川)」で「ヴァール川(バール川)の向こう側」を意味する。また、「ヴァール」・「トランスヴァール」は、英語での発音に基づいた日本語表記であり、オランダ語アフリカーンス語での発音に忠実な表記では、それぞれ「ファール」・「トランスファール」となる。

歴史

成立までの経緯

1830年代より、イギリス領ケープ植民地のオランダ系移民(ボーア人)が、イギリス統治への反発などから、内陸への集団移動を開始させた(グレート・トレック)。その結果、ヴァール川の北方(トランスヴァール)にボーア人が拠点を築くことになった。ケープ植民地との武力闘争を経て、1852年サンド・リバー協定英語版が成立し、トランスヴァール共和国が成立した。

成立当初

独立後の課題の一つに、内陸国で海への出口を持たないことがあった。そのためデラゴア湾周辺に勢力拡大を図ったが、これはイギリスの反対にあって実現しなかった。この一件を背景として、初代大統領のマルティヌス・プレトリウスは失脚に追い込まれた。1877年、一時的にイギリスによって併合されるが、ボーア人は抵抗を続け1881年プレトリア協定英語版で独立を回復させた(このことを第一次ボーア戦争と称し、1899年から1902年にかけての戦争を第二次ボーア戦争と称することもある)。

金鉱発見と繁栄

1886年、豊富なの鉱脈がヨハネスブルグの近郊で発見されたことが、トランスヴァール共和国にとって大きな転機となった。財政難のため開発は外資の都合に左右された。1891年にはセシル・ローズの要求で保有する鉄道の終点をケープ植民地に移した。翌年からはロスチャイルドが起債交渉を始め、1894年にはポルトガル領東アフリカ(現在のモザンビーク)の港湾都市ロレンソ・マルケス(現在のマプート)に至る鉄道が開通した[2]。また、翌年にはナタールのダーバンとも鉄道で結ばれた。

ボーア戦争とその後

しかし、こうした急速な繁栄は、当初よりトランスヴァール進出を企図していたイギリスの帝国主義的野心を強めさせることになった。1895年のリンダー・スター・ジェームソン英語版とその私兵らによる「ジェームソン侵入事件」(ジェームソン・レイド英語版)はその一例であり、ついに1899年よりイギリスの帝国主義的侵略戦争であるボーア戦争が開始された。ボーア人は各地でゲリラ的抵抗を続けイギリスを苦しめたが、1902年に敗戦してトランスヴァール共和国は滅亡し、イギリスの直轄植民地「トランスヴァール植民地」とされた。戦争中、金の生産量は10分の1以下にまで低下したほか、焦土戦術に伴う農地の荒廃もひどく、トランスヴァール経済に大きな打撃を与えた。

しかし、イギリスはボーア人との関係改善を図り、1905年にはボーア人農民を勢力基盤とする人民党の成立を認めた。1906年に自治政府が樹立され、1910年に成立した南アフリカ連邦を構成する州の一つ「トランスヴァール州」となった。短期間で経済復興も進められ、鉄道網もさらに整備された。

アパルトヘイト終結後の1994年に行われた州の再編により、東部は東トランスヴァール州(ムプマランガ州)、北部は北トランスヴァール州(リンポポ州)、西部は隣接するケープ州北東部地域と合併して北西州ヨハネスブルグおよびプレトリアを含む南部はハウテン州に分割された。

1928年から1994年まで使用された、南アフリカ連邦及び南アフリカ共和国の国旗
内側に並んだ3つの旗のうち、右側がトランスヴァール共和国の国旗。
中央はオレンジ自由国[3]の国旗、左側はイギリスの国旗

なお、1927年から1994年までの南アフリカの国旗では、中央部右側にトランスヴァール共和国の国旗があしらわれていた。

脚注

  1. ^ 現在の南アフリカ共和国アフリカーンス語(ケープ・オランダ語の後身)でRepubliek van Suid-Afrika英語Republic of South Africaであり、語順が異なる。
  2. ^ ロスチャイルドのオファーは、条件が200万ポンドの借款を額面90ポンド利率4.5%、代理募集のうえ資金を提供するというもの。ときの大統領ポール・クリューガーはオファーをほぼ受け入れた。議会は利率を5%に、借款総額を250万ポンドに引き上げ、承認した。
  3. ^ 後のオレンジ自由州、現在のフリーステイト州

関連項目


「トランスバール」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「トランスバール」の関連用語

トランスバールのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



トランスバールのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのトランスヴァール共和国 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS