データ構造図
(データ構造ダイアグラム から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/06 09:46 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動データ構造図(Data structure diagram、DSD)は、構成要素とそれらの関係を文書化するグラフィカルな表記法とそれらを束縛する制約を提供することで概念スキーマを記述するデータモデルの一種である。
DSDの基本的グラフィック要素は、実体を表す箱と関係を表す矢印である。データ構造図は特に複雑なデータ実体を文書化する際に有効である。
概要
データ構造図は、データ辞書内のデータ要素の構造を描くのに使われる一種のダイアグラムである。データ構造図は、そのようなデータ辞書のエントリ内の構成仕様をグラフィカルに表したものである[1]。
データ構造図は、実体関連モデル(ERモデル)の拡張である。DSDにおいて、実体を表す箱の外ではなく中に属性が書かれ、属性から構成される箱同士を結ぶように関係を表す矢印が引かれ、実体と実体を束縛する制約を指定する。ERモデルは素朴だが、関係間の制約を表現できず、複数の属性を持つ実体を表そうとすると見た目が複雑化する。DSDとERモデルの違いは、ERモデルでは異なる実体間の関係を表すことが主眼であるのに対し、DSDでは実体内の要素群の関係に主眼を置いており、実体間の関係を一目で把握できる。
データ構造図の表記法にはいくつかのスタイルがあり、特に多重度(1対1、多対1、1対多などの関係の種類)の定義方法に違いがある。多重度は矢印を様々な形で描くことで表したり、数値で表したりする。
バックマン線図
バックマン線図 (Bachman diagram) はデータ構造図の一種であり[2]、ネットワークモデルや関係モデルの論理データ設計に用いられる。この場合のデータモデルはシステムにおけるデータ格納方法とは切り離されている。データベース研究の先駆者チャールズ・バックマンが考案したことからその名を冠しており、主にソフトウェア設計で使われている。
関係モデルにおける関係は属性間の結びつきであり、その関係における全てのキーに推移的従属性を持つわけではない。関係間の結合は、属性の一致に基づく。それぞれの関係について四角形を描き、関係間の結合を矢印で四角形同士をつなぐことで表す。矢印にはそれぞれ多重度を表示する必要がある。1対N、1対1、N対Nなどがある。ただし、N対Nは避けるべきで、2つの1対Nの結合に置換しなければならない。
脚注
- ^ Data Integration Glossary, U.S. Department of Transportation, August 2001.
- ^ IRS Resources. Part 2. Information Technology, Chapter 5. Systems Development, Section 13. Database Design Techniques and Deliverables. Retrieved 02 July 2009.
参考文献
- Charles W. Bachman. Data structure diagrams. Data Base, 1969, 1(2):4–10.
- Tom DeMarco. Structured Analysis and System Specification. ISBN 0-13-854380-1. Prentice Hall. May 11, 1979.
- Edward Yourdon. Modern Structured Analysis. ISBN 0-13-598624-9. Prentice Hall. August 1, 1988; now available as the Structured Analysis Wiki.
関連項目
データ構造ダイアグラム
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「データモデル」の記事における「データ構造ダイアグラム」の解説
データ構造ダイアグラム(DSD)は、エンティティとそれらの関連、およびそれらを拘束する制約(constraints)を文書化する図式表記法を提供するよって、概念データモデルを記述するため使われる1つのダイアグラムでありデータモデルである。DSDの基本的図形要素は、エンティティを表すボックスと、関連を表す矢である。データ構造ダイアグラムは、複雑なデータ・エンティティを文書化するため最も有用である。 データ構造ダイアグラムは、実体関連モデルの1つの拡張である。DSDで、関連が、エンティティ群を束ねる制約を規定する属性から構成されるボックスとして描かれる一方で、属性は、エンティティの、外側でなく、内側で規定される。実体関連モデルは、堅牢である一方で、関連同士の制約を規定する方法を提供せず、そして、いくつかの属性を持つエンティティを表現するとき視覚的に扱い難くなる。DSDは、DSDが1つのエンティティ内での要素の関連に焦点を当て、そしてユーザーに各エンティティ間のリンクと関連を完全に見せることができるのに対して、実体関連モデルでは異なるエンティティ間の関連に焦点を当てる点で、異なる。 データ構造ダイアグラムを表現するため、多重度(cardinality)を定義する方法に顕著な違いを伴う、いくつかのスタイルがある。選択は、鏃、逆向き鏃(鳥足)、あるいは多重度の数値表現の間に存在する。
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