ディープ・パープル IIIとは? わかりやすく解説

ディープ・パープル III

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/13 05:35 UTC 版)

『ディープ・パープル III
素晴らしきアートロックの世界(旧題)』
ディープ・パープルスタジオ・アルバム
リリース
録音
  • 1969年1月 - 3月
  • ロンドン デ・レイン・リー・スタジオ
ジャンル アート・ロック
ニュー・ロック
時間
レーベル
プロデュース デレク・ローレンス
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 162位(アメリカ[1]
  • ディープ・パープル アルバム 年表
    • ディープ・パープル III
    • (1969年 (1969)
    テンプレートを表示

    ディープ・パープル III』(原題: Deep Purple)は、ディープ・パープル1969年に発表した3作目で第1期最後のアルバムである。

    解説

    レコーディングは1969年1月から3月まで、前作と同様にロンドンデ・レイン・リー・スタジオで行われた。プロデューサーエンジニアは前作、前々作と同様にそれぞれデレク・ローレンス英語版とバリー・アインスワースである。

    全8曲の収録曲の中で唯一のカバー曲である「ラレーニャ」の原曲は、ドノヴァンが作詞作曲して1968年10月にシングルで発表した。

    ジョン・ロードが自分の悪夢を歌詞にした「影を追って」はイアン・ペイスが叩き出すアフリカン・リズムが印象的な曲[注釈 1]。「ブラインド」はロードのハープシコードとペイスの激しいドラミングとが好対照で、ワウペダルを用いたと思われるリッチー・ブラックモアのギター・ソロも効果的である。ロッド・エヴァンスが書いた「何故ローズマリーは」の歌詞は、映画『ローズマリーの赤ちゃん』に基づいている[2]

    三部構成の組曲「4月の協奏曲」はブラックモアとロードの共作である。第一部はブラックモアのギター、ロードのオルガン、ペイスのティンパニによる器楽曲で、女性合唱と混声合唱が入る[注釈 2]。第二部はロードが作曲した室内楽形式の作品[注釈 3]。第三部はエヴァンスのボーカルを含んだ作品。ディープ・パープルの第1期の幕は、この組曲をもって閉じられた。

    ジャケットはルネサンス期のネーデルラント画家であるヒエロニムス・ボスの三連祭壇画『快楽の園』の右翼の通称「音楽地獄」を白黒にして、メンバーの写真を挿入したものである。

    本作はアメリカで1969年6月にテトラグラマトン・レコード英語版から[3]、イギリスで同年11月にハーヴェスト・レコードから[4]発表された。1970年にテトラグラマトン・レコードが倒産した結果、アメリカでは廃盤になった[注釈 4]

    日本では1969年10月にテトラグラマトン・レコードの原盤が日本グラモフォンから『素晴らしきアートロックの世界』の邦題で発売された(ポリドール、SMP 1450)[5]。その後テトラグラマトン・レコードの倒産で廃盤となったが、1973年11月にワーナー・パイオニアより『ディープ・パープルIII』と改題されて再発売された(P-8378W)[6]

    収録曲

    オリジナルLP

    Side One
    # タイトル 作詞・作曲 時間
    1. 「影を追って Chasing Shadows」 Ian Paice, Jon Lord
    2. 「ブラインド Blind」 Lord
    3. 「ラレーニャ Lalena」 Donovan Leitch
    4. 「フォールト・ライン Fault Line」 Ritchie Blackmore, Nick Simper, Lord, Paice
    5. 「画家 The Painter」 Blackmore, Rod Evans, Lord, Simper, Paice
    合計時間:
    Side Two
    # タイトル 作詞・作曲 時間
    1. 「何故ローズマリーは Why Didn't Rosemary?」 Blackmore, Evans, Lord, Simper, Paice
    2. 「小鳥は去った Bird Has Flown」 Lord, Evans, Blackmore
    3. 「4月の協奏曲 April」 Blackmore, Lord
    合計時間:

    CD

    1. 影を追って - "Chasing Shadows" - 5:34
    2. ブラインド - "Blind" - 5:26
    3. ラレーニャ - "Lalena" - 5:05
    4. フォールト・ライン - "Fault Line" - 1:46
    5. 画家 - "The Painter" - 3:51
    6. 何故ローズマリーは - "Why Didn't Rosemary?" - 5:04
    7. 小鳥は去った - "Bird Has Flown" - 5:36
    8. 4月の協奏曲 - "April" - 12:10
    Parlophone 7243 3 21597 2 7 ボーナス・トラック
    # タイトル 作詞・作曲 時間
    9. 「小鳥は去った The Bird Has Flown」(alternate a-side vsn.) Lord, Evans, Blackmore
    10. 「エマレッタ Emmaretta」(studio b-side) Lord, Evans, Blackmore
    11. 「エマレッタ Emmaretta」(BBC Top Gear session 14/1/69) Lord, Evans, Blackmore
    12. 「ラレーニャ Lalena」(BBC radio session 24/6/69) Leitch
    13. 「画家 The Painter」(BBC radio session 24/6/69) Blackmore, Simper, Lord, Paice
    合計時間:

    参加ミュージシャン

    ディープ・パープル
    その他
    • 室内楽団(「4月の協奏曲」)
    • 混声合唱団(「4月の協奏曲」)

    脚注

    注釈

    1. ^ 次作『ディープ・パープル・アンド・ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ』に収録された「グループとオーケストラのための協奏曲」の第三楽章で、グループ(ディープ・パープル)の演奏部分が始まってまもなく、この曲を連想させるオルガン・ソロとリズムが登場する。
    2. ^ 混声合唱団が参加していると考えられるが、詳細は不明である。
    3. ^ 室内楽団が参加していると考えられるが、詳細は不明である。
    4. ^ 1972年にワーナー・ブラザーズ・レコードから第1期の編集アルバム『紫の軌跡』が発表され、本作から「影を追って」「何故ローズマリーは」「小鳥は去った」「4月の協奏曲」が収録された。

    出典

    1. ^ Deep Purple - Awards : AllMusic
    2. ^ Popoff (2016), p. 56.
    3. ^ Discogs”. 2023年12月2日閲覧。
    4. ^ Discogs”. 2023年12月2日閲覧。
    5. ^ Discogs”. 2023年12月2日閲覧。
    6. ^ Discogs”. 2023年12月3日閲覧。

    引用文献

    • Popoff, Martin (2016). The Deep Purple Family Year By Year Volume One (to 1979). Bedford, England: Wymer Publishing. ISBN 978-1-908724-42-7 

    関連項目


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