ディフィシル菌のCDT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 01:54 UTC 版)
「二成分毒素」の記事における「ディフィシル菌のCDT」の解説
クロストリジウム・ディフィシル(ディフィシル菌)は偽膜性腸炎、クロストリジウム・ディフィシル腸炎の原因菌として知られている。その病原性には毒素Aと毒素Bが関与することが知られている。ディフィシル菌のBI/NAP1/027型がもつ二成分毒素としてCDTが知られている。A成分がCDTaでB成分がCDTbである。CDTbはウェルシュ菌ι毒素のIbやボツリヌス菌のC2毒素のC2Ⅱなど他のADPリボシル化酵素活性をもつ二成分毒素のB成分と36%程度の相同性をもつ。ドメイン1(1-257)が酵素成分との結合、ドメイン2(258-480)が膜侵入領域、ドメイン3(481-591)がオリゴマー形成、ドメイン4(592-876)が細胞への結合へ関与している。ドメイン4はウェルシュ菌のι毒素とスピロフォルム菌ι毒素様毒素とは相同性があるがボツリヌス菌のC2毒素とは相同性がない。 ディフィシル菌のCDT region上にコードされている。BI/NAP1/027型ではtcdC(negative regulator)の欠損があるために菌自体が毒素の産出をコントロールできずtoxin Aの産出量が16倍、toxin Bの産出量が23倍に亢進している。このためCDT自体の病原性に関しては不明な点が多い。 CDTの受容体はウエルシュ菌のι毒素と同様にLSRである。LSRは肝臓、小腸、大腸、肺、腎臓、副腎、精巣、卵巣を含む多くの組織で高発現している。ILDR2とILDR3はLSRと30%ほどの相同性をもつがこれらがCDTの受容体であるかは疑わしい。またLSR以外にCD44も受容体である可能性が示されている。
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