ダイヤモンドアンビルとは? わかりやすく解説

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ダイヤモンドアンビルセル

(ダイヤモンドアンビル から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/14 05:23 UTC 版)

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ダイヤモンドアンビルセルの図。 ダイヤモンドアンビルのculet (底の平らな部分)の間にサンプルを設置し圧力を加える
地球深部と同等の圧力をかけてサンプルを確認する研究者[1]

ダイヤモンドアンビルセル英語:Diamond anvil cell、略称:DAC)とは、科学実験で高圧力を印加する装置である。770 GPa (7,700,000 bar / 770万気圧)まで圧力をかけられるが、大抵の場合は100 GPaから200 GPa程度の圧を試験片に印加する[2][3]

用途としては、地球を含む惑星内部の圧力環境の再現、物質の合成相変化に使用される。例としては、第10相の氷[4]。通常気圧では気体の金属水素、金属キセノンなど。

底面が平らになるよう研磨されたダイヤモンドが、底面を向い合せにした状態で設置されている。圧力をかける場合は、この底面に圧力がかかる。試料にかかる圧力は、試料と共に既に圧力がかかった時の挙動が判明しているルビープラチナなどの結晶構造が単純なさまざまな金属を基準物質とすることで計測する[5][6]

水素ヘリウムパラフィン油などの圧力伝達物質によって圧力が均等にかかる静圧の状態に置き換えることも可能である[7]。圧力伝達媒体は、ガスケットと2つのダイヤモンドアンビルに囲まれ保持される。

試料はダイヤモンド越しにX線可視光を当てることで状態を確認することができる。この事からレーザーによる加熱や冷却、蛍光分光など各種光学観測や磁場やマイクロ波を使った観測などが可能である。

原理

ゲイザースバーグNIST博物館にある最初のダイヤモンドアンビルセルの圧力をかける部分の一部

パーシー・ブリッジマンは「高圧物理学の礎を築いた功績」からノーベル賞を獲得した偉大なパイオニアである。20世紀前期に、彼によって大きな力を小さな領域にかけるタングステンカーバイド製のアンビルセルが発明されたことから高圧物理学は大きな発展を遂げた。当初の装置では、いろいろ制限があったことから工夫がなされ現在のダイヤモンドアンビルセルに発展していった。

1974年に、レーザー加熱を使用する方法が報告された[8]

関連項目

出典

  1. ^ Deep Carbon Observatory: A decade of discovery (Report). Washington, DC. (2019). doi:10.17863/CAM.44064. https://deepcarbon.net/deep-carbon-observatory-decade-discovery 2019年12月13日閲覧。. 
  2. ^ Improved diamond anvil cell allows higher pressures. Physics World November 2012
  3. ^ Record high pressure squeezes secrets out of osmium”. Science Daily (2015年8月8日). 2016年1月16日閲覧。
  4. ^ Goncharov, A. F.; Struzhkin, V. V.; Somayazulu, M. S.; Hemley, R. J.; Mao, H. K. (Jul 1986). “Compression of ice to 210 gigapascals: Infrared evidence for a symmetric hydrogen-bonded phase”. Science 273 (5272): 218–230. Bibcode1996Sci...273..218G. doi:10.1126/science.273.5272.218. PMID 8662500. 
  5. ^ Forman, Richard A.; Piermarini, Gasper J.; Barnett, J. Dean; Block, Stanley (1972). “Pressure Measurement Made by the Utilization of Ruby Sharp-Line Luminescence”. Science 176 (4032): 284–5. Bibcode1972Sci...176..284F. doi:10.1126/science.176.4032.284. PMID 17791916. 
  6. ^ Kinslow, Ray; Cable, A. J. (1970). High-velocity impact phenomena. Boston: Academic Press. ISBN 0-12-408950-X 
  7. ^ Jayaraman, A. (1986). “Ultrahigh pressures”. Reviews of Scientific Instruments 57 (6): 1013. Bibcode1986RScI...57.1013J. doi:10.1063/1.1138654. 
  8. ^ Ming, L.; Bassett, W.A. (1974). “Laser-Heating in Diamond Anvil Press Up to 2000 Degrees C Sustained and 3000 Degrees C Pulsed at Pressures up to 260 Kilobars”. Review of Scientific Instruments 45 (9): 1115–1118. Bibcode1974RScI...45.1115M. doi:10.1063/1.1686822. 

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