セコイア (スーパーコンピュータ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 01:11 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動Sequoia(セコイア)は、IBMが開発した、アメリカ合衆国 国家核安全保障局(NNSA) ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)設置のスーパーコンピュータの名称。2009年に開発が発表[1]され、開発中の2012年6月に演算性能16.32ペタフロップスでTOP500の1位となり[2]、世界最速のコンピュータとなった。2012年完成時は20.13 ペタフロップス。小規模なプロトタイプ版にDawnがある。
概要
Sequoiaは、アメリカ合衆国の国家核安全保障局(NNSA)がASC計画の一環として使用するための、IBMが構築するペタスケール(ペタFLOPS級)のBlue Gene/Qスーパーコンピュータである。2009年の発表では、2011年にローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)に提供され、2012年7月に完成予定である[3]。
2012年6月14日に発表されたTOP500で、従来1位の京の 10.51 ペタフロップスを 55% 上回る、LINPACK性能 16.32 ペタフロップスで1位となった。更にエネルギー効率でも、京の消費電力 12.6 メガワット対して、消費電力 7.9メガワットとなり、上回った[4] [5]。
Sequoiaは、POWER系のプロセッサIBM A2を搭載し、ファイルシステムで接続された約98,000個のノードではCompute Node Linuxが、768個のI/OノードではRed Hat Enterprise Linuxが稼働している[6]。
なお「セコイア」とは世界有数の高さを誇るスギ科の針葉樹で、ASC/LLNLのセコイアの資料にはセコイアの絵も描かれている[7]。
2022年に納入される次世代のEl Capitanを設置するため、2020年1月31日に停止され解体・撤去された[8]。
プロトタイプのDawn
IBMはまた、Sequoiaの設計の評価用に、Blue Gene/Pをベースとした500テラフロップスの能力を持つ、より小型のDawnと呼ばれるプロトタイプを構築した。このシステムは2009年4月に提供され、2009年6月のTOP500で9位となった[9]。
目的
Sequoiaの主要目的は核兵器のシミュレーションで、ローレンス・リバモア国立研究所で現在使用されている Blue Gene/L および ASC Purple スーパーコンピュータを置き換える予定である。Sequoiaはまた、天文、エネルギー、ヒトゲノム研究、気象変動などの科学技術目的のためにも使用された。
設計
ノードアーキテクチャ
Sequoiaは、第三世代のBlue GeneデザインであるBlue Gene/Qデザインにより構築された。約3000平方フィートのエリアに設置された96のラックに、160万個のプロセッサコアと1.6ペタバイト (PB) のメモリを含む、98,304のコンピュータノードにより構成される。プロセッサは45nm製造プロセスの、16または8コアのPower ArchitectureのIBM A2である。
ジョブスケジューラ
ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)はSequoiaの資源管理のために、プロトタイプのDawnや中国の天河一号Aでも使用されているSLURMジョブスケジューラを使用[10]。
ファイルシステム
ローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)は、ファイルシステムの性能優位と先進機能を得るために、並列ファイルシステムとしてLustreを採用し、Lustre OSD (Object Storage Device)としてZFSをLinuxに移植した[11]。
消費電力
完成後のシステムは約6メガワット(MW)の消費電力となるが、「ワット当たりの性能」の大幅な向上を予定している。Blue Gene/Qの設計では3000Mflops/ワットとなる予定だが、置換え予定のBlue Gene/Pより7倍効率的で、2011年6月のTOP500 1位であった京_(スーパーコンピュータ)より3倍効率的である[12][13]。
参照
- ^ NNSA awards IBM contract to build next generation supercomputer
- ^ Lawrence Livermore’s Sequoia Supercomputer Towers above the Rest in Latest TOP500 List - TOP500 Press Release Archived 2012年8月9日, at WebCite
- ^ NNSA awards IBM contract to build next generation supercomputer
- ^ TOP500 Press Release Archived 2012年8月9日, at WebCite
- ^ BBC News - IBM supercomputer overtakes Fujitsu as world's fastest
- ^ IBM supercomputer overtakes Japan's Fujitsu as world's fastest
- ^ Sequoia Update SCICOMP 2011 - ASC/LLNL - IBM(PDF) 2011年更新資料
- ^ “Sequoia撤去、El Capitanの設置場所を確保”. HPCwire Japan (2020年3月3日). 2021年7月8日閲覧。
- ^ Dawn Ranking History
- ^ Multi-Petascale Computing on the Sequoia Architecture
- ^ ZFS on Linux for Lustre Archived 2014年10月31日, at the Wayback Machine.
- ^ The Top500 List - June 2011
- ^ The Green500 List - June 2011[リンク切れ]
関連項目
外部リンク
- 2009年2月 発表時
- NNSA awards IBM contract to build next generation supercomputer - NNSAプレスリリース
- 20 Petaflop Sequoia Supercomputer - IBMプレスリリース
- IBM、世界最速のスパコン『Sequoia』を開発 - 報道
- NNSA資料
- Using the Dawn BG/P System - Dawn資料
- 2012年6月 TOP500 1位獲得時
記録 | ||
---|---|---|
先代: 京(日本) 10.51 ペタFLOPS |
世界で最も高速なコンピュータ 2012年6月 – 2012年11月 記録:16.325 ペタFLOPS |
次代: クレイ タイタン(米国) 17.59 ペタFLOPS |
先代: |
データ解析性能世界1位 2013年6月 – 2014年6月 記録:15363 ギガTEPS |
次代: 京(日本) 17977 ギガTEPS |
「セコイア (スーパーコンピュータ)」の例文・使い方・用例・文例
- 巨大なメタセコイア
- セコイアは地上に現存する植物の最大級のものである.
- セコイア
- セコイアの木の2つの種類のどちらかの柔らかい赤の木
- セコイアオスギ
- メタセコイアという植物
- セコイアというスギ科の常緑大高木
- 米国裁判所がセコイアを守る
- セコイアは地球上で最も大きい木である。
- 米国カリフォルニア州のセコイア国立公園にある「シャーマン将軍の木」は世界一大きな木と言われている。
- セコイア国立公園は1890年に誕生した。
- その隣接地域にも美しいセコイアの森があるため,2000年にクリントン政権がその地域を国定公園に指定した。
- しかし,ブッシュ政権下,米国農務省がその国定公園にある比較的若いセコイアの木を商業目的で間伐することを計画していた。
- しかし,環境保護団体は,同省にはその主張を支持する科学的根拠が何もないのでセコイアは伐採されるべきではないと主張した。
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