スピンを考慮した場合の波動関数空間ℋの数学的定式化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/03 15:42 UTC 版)
「スピン角運動量」の記事における「スピンを考慮した場合の波動関数空間ℋの数学的定式化」の解説
前節まで述べたように、軌道角運動量演算子は粒子の位置を表す(x,y,z)による3次元空間上の回転対称性として定義できる。それに対しスピンはそのような定式化ができない。様々な物理実験から、スピンは(x,y,z)とは独立な粒子の第四の内部自由度である事が知られているからである。これが原因で、スピンを考慮した場合、波動関数全体のなすヒルベルト空間 H {\displaystyle {\mathcal {H}}} は一粒子系であっても H {\displaystyle {\mathcal {H}}} はL2(R3) とは等しくならない。 したがってスピンを記述するには、スピンの状態ベクトルの空間Vs をL2(R3)とは別個に用意し、 H = L 2 ( R 3 ) ⊗ V s {\displaystyle {\mathcal {H}}=L^{2}(\mathbf {R} ^{3})\otimes V_{s}} を考える必要がある。ここで添字s ≥ 0は整数もしくは半整数であり、Vsは2s+1 次元の複素計量ベクトル空間である。 一粒子系の波動関数の空間 H {\displaystyle {\mathcal {H}}} が上述のように表記できるとき、s をその粒子のスピン量子数という。Vs をスピノール空間、Vs の元をスピノールという。s が整数ではない半整数になるときその粒子をフェルミオンといい、s が整数になるときその粒子をボゾンという。
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