ススキノキ属とは? わかりやすく解説

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ススキノキ属

(ススキノキ亜科 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/12 14:48 UTC 版)

ススキノキ属
ススキノキ(Xanthorrhoea australis
キサントロエア・プレイッシー
Xanthorrhoea preissii
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ワスレグサ科 Asphodelaceae
亜科 : ススキノキ亜科 Xanthorrhoeoideae
: ススキノキ属 Xanthorrhoea
学名
Xanthorrhoea Sol. ex Sm.
シノニム
  • Acoroides Sol. ex Kite, not validly published
和名
ススキノキ属(芒の木属)

ススキノキ属 (ススキノキぞく、学:Xanthorrhoea) は単子葉植物。本属は、ススキのような細い葉をつける樹木または草本から構成される。学名から、キサントロエア属クサントロエア属とも呼ばれる[1]

概要

ススキノキ属の一種の花

オーストラリアを原産とし、砂漠地帯の砂礫地ややや乾燥した草原に自生する木本または草本植物である。幹はソテツヤシと同じく凹凸が見られ、黒みを帯びている。二又に分枝して成長する個体や、分枝せずに直立して成長する個体があったりと個体差がある。幹の先端には、狭長線状の緑色の葉が放射状に密集して付く。枯れた葉はしばらくは脱落せずに、茶色く垂れた状態で残る事が多い。開花は非常に稀で、先端から100~150㎝程度の花茎を1~3本立ち上げ、ソテツやガマに似た密な黄色~薄黄色の穂状花序を形成する。この花茎は遠くからでも良く目立つ[2][1]。草姿は全体的にダシリリオン属の植物に似る。(※但しダシリリオン属はキジカクシ科に分類される。)成長は非常に緩慢であるが、非常に強い耐火性を持ち、軽度な山火事程度では用意に株は再生する[3]。花は花弁が小さく退化しており、一つの花に対し、長い雄蕊雌蕊が5~6本付く。(画像参照)

栽培方法

亜熱帯~熱帯地域が原産の為、耐乾性には乏しく、冬季の降霜で枯れる恐れがあるので屋内で管理を行う。冬季は完全に水を切っても良い。春ごろになったら、屋外の直射日光が当たる場所へ移動し秋頃まで屋外で育てる。耐暑性、耐乾性は極めて高い。但し、梅雨時期は多湿で根腐れしてしまう恐れがあるので、雨除け等を行う[4]

名称について

属名Xanthorrhoeaの由来は、Xanthos(黄色の)+Rhero(流れる)からきており、一部種の樹液が黄色でゴム状の樹脂が得られることにちなんでいる[3]

ちなみに、語源にXanthos(黄色)が含まれている属名には他に、ブンカンカ属Xanthoceras)やキサントソーマ属Xanthosoma)などがある。

従来の分類

新エングラー体系ではススキノキ属は、ユリ科に分類されていた。当時のユリ科キジカクシ科ヒガンバナ科等も含んでいる非常に大きな科であった[5]

クロンキスト体系ではススキノキ科の下位分類の一つである亜科のススキノキ亜科が新設され、アロエハオルチアガステリアなどの多肉植物、現在ダシポゴン科の植物4種、現在のキジカクシ科に含まれていた5種を含み、かなり大きな科となっていた[5]

APG IIIAPG IVにかけてススキノキ科の詳しい分類が進み、最終的に現在ではワスレグサ科のススキノキ亜科となっている。かつて多くの種と属を含んだ、ススキノキ科は現在ではススキノキ属のみを含む単型のワスレグサ科のススキノキ亜科に分類されるようになった[5]

ダシポゴン科に移動された属
キジカクシ科に移動された属
アロエベラ
かつてススキノキ科に含まれており、今は同じくワスレグサ科に含まれる種

下位分類

現在のススキノキ亜科ではススキノキ属1種認められる。ススキノキ属は、未分類の一種、シノニムを含め36種類認められる[6]

著名な種

  • ススキノキ

 (Xanthorrhoea australis

狭義でのススキノキは本種の事を指す。学名から、キサントロエア・オーストラリスとも呼ばれる。和名はススキノキで、英名にはグラスツリー、ボトルツリー、ブラックボーイなどがある。いずれも本種の草姿にちなんでいる。種小名のaustralisは、「南方の」という意味を持つ[3]。オーストラリアのニューサウスウェールズ州南オーストラリア州ビクトリア州の沿岸地域、タスマニア島全域に自生している[7]

  • キサントロエア・グラウカ

 (Xanthorrhoea glauca

本種も比較的日本での地名度がある種。クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州の沿岸地域に自生している。亜種にXanthorrhoea glauca subsp. angustifoliaがある[8]

  • キサントロエア・ジョンソニー

 (Xanthorrhoea johnsonii

クイーンズランド州と、ニューサウスウェールズ州に自生する種。ここで上げた他の種に比較して葉の長さや幹のサイズなどのスケールが全体的に小さいのが特徴である[9]

  • キサントロエア・プレイッシー(2024年11月 大阪市 咲くやこの花館)
    キサントロエア・プレイッシー

 (Xanthorrhoea preissii

西オーストラリア州に自生する種類[10]

その他種

  • Xanthorrhoea acanthostachya
  • Xanthorrhoea acaulis
  • Xanthorrhoea arborea
  • Xanthorrhoea arenaria
  • Xanthorrhoea bracteata
  • Xanthorrhoea brevistyla
  • Xanthorrhoea brunonis
  • Xanthorrhoea caespitosa
  • Xanthorrhoea concava
  • Xanthorrhoea drummondii
  • Xanthorrhoea fulva
  • Xanthorrhoea gracilis
  • Xanthorrhoea latifolia
  • Xanthorrhoea macronema
  • Xanthorrhoea malacophylla
  • Xanthorrhoea media
  • Xanthorrhoea minor
  • Xanthorrhoea nana
  • Xanthorrhoea platyphylla
  • Xanthorrhoea pumilio
  • Xanthorrhoea quadrangulata
  • Xanthorrhoea resinosa
  • Xanthorrhoea semiplana
  • Xanthorrhoea thorntonii

出典

  1. ^ a b ススキノキ科”. yonemura.co.jp. 2025年2月21日閲覧。
  2. ^ Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2025年2月21日閲覧。
  3. ^ a b c GKZ植物事典・ススキノキ”. gkzplant.sakura.ne.jp. 2025年2月21日閲覧。
  4. ^ 個性的でカッコいい「グラスツリー」【オージーガーデニングのすすめ】”. GardenStory (ガーデンストーリー). 2025年2月21日閲覧。
  5. ^ a b c ススキノキ科 Xanthorrhoeaceae 三河の植物観察”. mikawanoyasou.org. 2025年2月21日閲覧。
  6. ^ WFO Plant List | World Flora Online” (英語). wfoplantlist.org. 2025年2月21日閲覧。
  7. ^ Xanthorrhoea australis R.Br. | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2025年2月21日閲覧。
  8. ^ Xanthorrhoea glauca D.J.Bedford | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2025年2月21日閲覧。
  9. ^ Xanthorrhoea johnsonii A.T.Lee | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2025年2月21日閲覧。
  10. ^ Xanthorrhoea preissii Endl. | Plants of the World Online | Kew Science” (英語). Plants of the World Online. 2025年2月21日閲覧。

外部リンク




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