ジエチルピロカーボネートとは? わかりやすく解説

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ジエチルピロカーボネート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/09 04:24 UTC 版)

ジエチルピロカーボネート
識別情報
CAS登録番号 1609-47-8 
PubChem 3051
ChemSpider 2943 
KEGG C11592 
MeSH Diethylpyrocarbonate
ChEBI
ChEMBL CHEMBL55517 
特性
化学式 C6H10O5
モル質量 162.141 g/mol
外観 無色透明の液体
密度 1.101 g/mL at 25 °C
1.121 g/mL at 20 °C
沸点

93 - 94 °C at 24 hPa

危険性
主な危険性 Harmful
Rフレーズ R22 R36/37/38
引火点 69 °C - 引火点試験装置
半数致死量 LD50 Oral - rat - 850 mg/kg
関連する物質
関連物質 二炭酸ジ-tert-ブチル
二炭酸ジメチル
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ジエチルピロカーボネート(Diethylpyrocarbonate; DEPC)は分子生物学実験において、RNAを分解する酵素である RNase を失活させるために使う試薬である。RNase を失活させた DEPC 処理水は、研究室において RNA を扱う際に、分解のリスクを避けるためによく用いられる。

この作用は、DEPC が RNase のヒスチジン残基に対して共有結合修飾を行うことによる。そのため、同様に修飾のターゲットとなるTrisHEPESバッファには DEPC は使えない。PBSMOPS には使用可能である。簡単な法則として、反応性のある -O:、-N:、-S: といった残基を持つ酵素や化学物質に対しては、DEPC で RNase フリー処理を行うことはできない。

に含まれる RNase を失活させるには、まず水に対して0.1%量の DEPC を添加し、37℃で一時間以上反応させる。その後121℃のオートクレーブで15分以上処理し、未反応の DEPC を不活性化させる。この方法で DEPC を不活性化(分解)した場合、水・二酸化炭素エタノールが生じる。DEPC の濃度を上げればより多くの RNase を失活させることができるが、DEPC や分解時の副生成物が残ってしまうと、in vitro 翻訳などその後の実験操作に悪影響を及ぼす。また RNA 自体もカルボキシメチル化などの修飾を受けて有効量が低下してしまうことがあり、これはバッファ交換を行っても回復しない。

DEPC によるヒスチジンの誘導体化は、酵素におけるヒスチジン残基の重要性を確認する目的でも使われる。DEPC によるヒスチジン修飾は、イミダゾール環窒素に対するエトキシカルボニル化である。この修飾は可逆的であり、中性条件下において0.5Mのヒドロキシルアミンで処理すると戻すことができる。





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