シュワルツ超関数の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:55 UTC 版)
「量子力学の数学的定式化」の記事における「シュワルツ超関数の定義」の解説
ΩをRdの領域とし、ψ : Ω → Cを局所可積分関数とするとき、C∞0(Ω)上の線形汎関数Tψを T ψ : C 0 ∞ ( Ω ) → C {\displaystyle T_{\psi }~:~C_{0}^{\infty }(\Omega )\to \mathbf {C} } 、 ϕ ↦ ∫ R d ϕ ( x ) ψ ( x ) d x {\displaystyle \phi \mapsto \int _{\mathbf {R} ^{d}}\phi (x)\psi (x)\mathrm {d} x} により定義することで、局所可積分関数ψにC∞0(Ω)上の線形汎関数Tψを対応させる事ができる。この対応関係が単射な事は容易に確かめられるので、ψとTψを自然に同一視することにすると、C∞0(Ω)上の線形汎関数の集合は局所可積分関数の集合を部分集合として含むことになるので、C∞0(Ω)上の線形汎関数を局所可積分関数よりも広いクラスの「関数」であるとみなせる。そこでC∞0(Ω)上の線形汎関数で「連続」なものの事を「シュワルツ超関数」、あるいは単に「超関数」と呼ぶことにする。 定義 (超関数) ― 線形汎関数 T : C∞0(Ω)→R で連続なものをシュワルツ超関数、あるいは単に超関数という。ここでC∞0(Ω)上の線形汎関数Tが連続であるとは、C∞0(Ω)の元の列 { ϕ n } n ∈ N {\displaystyle \{\phi _{n}\}_{n\in \mathbb {N} }} がC∞0(Ω)の元 ϕ {\displaystyle \phi } に収束するときは常に lim n → ∞ T ( ϕ n ) = T ( ϕ ) {\displaystyle \lim _{n\to \infty }T(\phi _{n})=T(\phi )} が成立する事を言うF15(p103)。超関数全体の集合を D ′ ( Ω ) {\displaystyle {\mathcal {D}}'(\Omega )} と表記する。 2つの超関数に対してその線形和を自然に定義できるため、超関数全体の集合はベクトル空間をなす。同様に緩増加超関数を以下のように定義する: 定義 (緩増加超関数) ― 線型汎関数 T : S ( R d ) → C {\displaystyle T~:~{\mathcal {S}}(\mathbf {R} ^{d})\to \mathbf {C} } で、 S ( R d ) {\displaystyle {\mathcal {S}}(\mathbf {R} ^{d})} の元の列{ψn}が S ( R d ) {\displaystyle {\mathcal {S}}(\mathbf {R} ^{d})} の元ψに収束するなら lim n → ∞ T ( ψ n ) = T ( ψ ) {\displaystyle \lim _{n\to \infty }T(\psi _{n})=T(\psi )} を満たすものを連続であるといい、 S ( R d ) {\displaystyle {\mathcal {S}}(\mathbf {R} ^{d})} からCへの連続な線型汎関数を緩増加超関数といい、緩増加超関数全体の集合を S ′ ( R d ) {\displaystyle {\mathcal {S}}'(\mathbf {R} ^{d})} と書き表す。 以下、超関数Tと局所可積分関数ψに対し、 ⟨ T , ψ ⟩ := T ( ψ ) {\displaystyle \langle T,\psi \rangle :=T(\psi )} と表記する。緩増加超関数に対しても同様の表記を用いる。なお上述の表記は内積に似ているが、内積の定義では複素共役を取っている事が原因で、 ⟨ T ϕ , ψ ⟩ = ⟨ ϕ ∗ , ψ ⟩ {\displaystyle \langle T_{\phi },\psi \rangle =\langle \phi ^{*},\psi \rangle } となることに注意されたい。
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