グロモフ・ウィッテン擬サイクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/29 06:10 UTC 版)
「安定写像」の記事における「グロモフ・ウィッテン擬サイクル」の解説
グロモフ・ウィッテン不変量を構成するためには、評価写像(evaluation map)により安定写像のモジュライ空間を定める。 M g , n J , ν ( X , A ) → M ¯ g , n × X n , {\displaystyle M_{g,n}^{J,\nu }(X,A)\to {\bar {M}}_{g,n}\times X^{n},} ( ( C , j ) , f , ( x 1 , … , x n ) ) ↦ ( s t ( C , j ) , f ( x 1 ) , … , f ( x n ) ) {\displaystyle ((C,j),f,(x_{1},\ldots ,x_{n}))\mapsto (\mathrm {st} (C,j),f(x_{1}),\ldots ,f(x_{n}))} G W g , n X , A ∈ H d ( M ¯ g , n × X n , Q ) . {\displaystyle GW_{g,n}^{X,A}\in H_{d}({\bar {M}}_{g,n}\times X^{n},\mathbb {Q} ).} を得ることができる。有理数係数であることは、モジュライ空間がオービフォールドとなるために必須である。評価写像により定義されたホモロジー類は、一般的な ω {\displaystyle \omega } -tame J {\displaystyle J} や摂動 ν {\displaystyle \nu } の選択には依存しない。このホモロジー類のことを与えられたデータ g {\displaystyle g} 、 n {\displaystyle n} A {\displaystyle A} に対する X {\displaystyle X} のグロモフ・ウィッテン(GW)不変量という。コボルディズムの議論を使い、このホモロジー類がイソトピー同値を除き ω {\displaystyle \omega } の選択に依存しないことを示すことができる。このようして、グロモフ・ウィッテン不変量はシンプレクティック多様体のシンプレクティックイソトピー類の不変量であることが示される。 上記の『適当な条件』が微妙で、第一には、写像の中の多重度(領域の分岐被覆を通して分解する多重度)が期待している次元よりも大きく形成することができるからである。 これを扱うもっとも単純な方法は、ある意味で対象である多様体 X {\displaystyle X} が半正(semipositive)もしくはファノ多様体であることを前提にすることである。この前提は、多重度を持つ被覆写像のモジュライ空間がちょうど多重度を持たない被覆写像で少なくとも余次元2を持つように選ぶことである。すると、評価写像のイメージは擬サイクル(英語版)(pseudocycle)を形成し、期待された次元のwell-definedなホモロジー類を引き起こす。 グロモフ・ウィッテン不変量を半正値のいくつかの種類の前提なしで定義することは、仮想モジュライサイクルとして知られている難しいテクニカルな構成を必要とする。
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