クルル位相
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 09:58 UTC 版)
可換環論において、可換環 R の真のイデアル I のベキによるフィルターは、R 上の(Wolfgang Krull にちなんで)クルル位相(英語版)あるいは I-進位相(I-adic topology)を決定する。極大イデアル I = m {\displaystyle I={\mathfrak {m}}} の場合が特に重要である。R の 0 の基本近傍系はイデアルのベキ In によって与えられる。これは入れ子になっており R の減少フィルターをなす。 R = I 0 ⊃ I 1 ⊃ I 2 ⊃ ⋯ {\displaystyle R=I^{0}\supset I^{1}\supset I^{2}\supset \cdots } 完備化は商環の逆極限である。 R ^ I = lim ← ( R / I n ) {\displaystyle {\hat {R}}_{I}=\varprojlim (R/I^{n})} (「アールアイハット」と読む。文脈から I が明らかなときには単に R ^ {\displaystyle {\hat {R}}} と書くこともある。)環から完備化への自然な写像 π の核は I のベキの共通部分である。したがって π が単射であることと共通部分が環の零元のみからなることは同値である。たとえば、整域か局所環である可換ネーター環はクルルの交叉定理よりその完備化に埋め込める。 R-加群にも同様の位相があり、これもクルル位相や I-進位相と呼ばれる。加群 M の点 x における基本近傍系は x + In M の形をした集合によって与えられる。R-加群 M の完備化は商加群の逆極限である。 M ^ I = lim ← ( M / I n M ) . {\displaystyle {\hat {M}}_{I}=\varprojlim (M/I^{n}{M}).} この手続きによって R 上の任意の加群は R ^ I {\displaystyle {\hat {R}}_{I}} 上の完備位相加群(英語版)になる。
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