クマドリカエルアンコウとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > クマドリカエルアンコウの意味・解説 

クマドリカエルアンコウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/08 04:22 UTC 版)

クマドリカエルアンコウ
白色で斑点の無いタイプ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: アンコウ目 Lophiiformes
: カエルアンコウ科 Antennariidae
: カエルアンコウ属 Antennarius
: クマドリカエルアンコウ
A. maculatus
学名
Antennarius maculatus
(Desjardins, 1840)
シノニム[2]
  • Chironectes maculatus Desjardins, 1840
  • Phymatophryne maculata (Desjardins, 1840)
  • Antennarius oligospilos Bleeker, 1857
  • Antennarius phymatodes Bleeker, 1857
  • Antennarius guentheri Bleeker, 1864
英名
Warty Frogfish
Clown Frogfish

クマドリカエルアンコウ(学名:Antennarius maculatus)は、カエルアンコウ科に分類される海水魚の一種[3]。以前はクマドリイザリウオという和名であったが、「イザリ」が差別的用語であるため2007年に現在の和名に改称された。

分類と名称

1840年にフランス動物学者であるJulien DesjardinsによってChironectes maculatusとして記載され、タイプ産地はモーリシャスであった[4]。イロカエルアンコウ種群に分類される[5]。種小名は「斑点のある」という意味で、体にある斑点模様に由来する[6]。和名は体の模様が歌舞伎隈取に似ていることに由来する。

分布と生息地

インド洋モーリシャスレユニオン島から西太平洋にかけて、インド太平洋に分布する[2]。日本では伊豆諸島相模湾以南の太平洋岸、琉球列島に分布する[7]。水深20 mまでの岩礁サンゴ礁に生息し、海綿動物の近くで生活する[2]

形態

体長は最大15 cm。体は卵型で伸縮性が高く、柔らかい皮膚は小さな棘と突起で覆われている[7]。口は大きく、自身と同程度の大きさの獲物であっても飲み込める。体色は生活環境に合わせて変化し、一般に数週間かかる。サンゴの白化現象が起こると、環境に溶け込むために真っ白になる[8]。体色は主に白や黒、クリーム色、ピンク、黄色、赤、茶色などで、暗色で円形の斑点が入るものが多い[7]。斑点の多い個体はイロカエルアンコウに似るが、本種は全ての鰭が赤またはオレンジ色で縁取られ、目の後方に鞍型の模様が入る場合がある。

背鰭第1棘は誘引突起に変化しており、先端にはピンク色から茶色の擬餌状体がある。擬餌状体は幼魚のころは甲殻類に似ており、成魚のものは小魚に似ている[7]。誘引突起は背鰭第2棘の2倍の長さで、濃い縞模様が入ることもある。背鰭第2棘は直線的で可動性があり、背鰭第3棘は体の後方を向いている。どちらも皮膚に埋没しており、他の鰭条とは離れている[9]。第2背鰭は11-12軟条から、臀鰭は7軟条から成る[10]。角度のある胸鰭と腹鰭によって、海底を歩くことが可能になっている。

生物発光を示し、紫外線が当たると赤く発光する。これは種内のコミュニケーションや擬態に役立つ可能性がある[11]

生態

肉食魚であり、近づいてきた獲物を捕食する。主に魚類を捕食しており、自らと同じくらいの大きさであっても飲み込める[9]。単独で生活する底魚であり、繁殖期には雌雄が集まる。その際雌が雄を捕食してしまうことがある[9]

脚注

  1. ^ Pietsch, T. (2022). Antennarius maculatus. IUCN Red List of Threatened Species 2022: e.T67968705A67970912. doi:10.2305/IUCN.UK.2022-2.RLTS.T67968705A67970912.en. https://www.iucnredlist.org/species/67968705/67970912 2024年4月8日閲覧。. 
  2. ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Antennarius maculatus" in FishBase. April 2024 version.
  3. ^ Nelson, J.S.、Grande, T.C.、Wilson, M.V.H.『Fishes of the World』(5th)John Wiley & Sons、Hoboken, NJ、2016年、508–518頁。doi:10.1002/9781119174844ISBN 978-1-118-34233-6LCCN 2015-37522OCLC 951899884OL 25909650M 
  4. ^ CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes”. researcharchive.calacademy.org. 2024年4月7日閲覧。
  5. ^ Antennarius maculatus”. www.frogfish.ch. Teresa Zubi. 2024年4月8日閲覧。
  6. ^ Christopher Scharpf (2022年11月14日). “Order LOPHIIFORMES (part 1): Families LOPHIIDAE, ANTENNARIIDAE, TETRABRACHIIDAE, LOPHICHTHYIDAE, BRACHIONICHTHYIDAE, CHAUNACIDAE and OGCOCEPHALIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf. 2024年4月8日閲覧。
  7. ^ a b c d 瀬能宏『小学館の図鑑Z 日本魚類館』169頁
  8. ^ Grimsditch, Gabriel; Basheer, Ahmed; Bryant, D.E.P. (2016). “Extreme white colouration of frogfish Antennarius maculatus due to coral bleaching event”. Coral Reefs 36: 167. doi:10.1007/s00338-016-1500-6. 
  9. ^ a b c Theodore W. Pietsch、David B. Grobecker『Frogfishes of the world』Stanford University Press、1987年。 ISBN 9780804712637 
  10. ^ 多紀保彦・河野博・坂本一男・細谷和海『新訂 原色魚類大圖鑑 圖鑑編』北隆館、2005年12月15日。 ISBN 4-8326-0820-7 p.293
  11. ^ Sparks, John S.; Schelly, Robert C.; Smith, W. Leo; Davis, Matthew P.; Tchernov, Dan; Pieribone, Vincent A.; Gruber, David F. (2014). “The Covert World of Fish Biofluorescence: A Phylogenetically Widespread and Phenotypically Variable Phenomenon”. PLOS ONE 9 (1): e83259. Bibcode2014PLoSO...983259S. doi:10.1371/journal.pone.0083259. PMC 3885428. PMID 24421880. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3885428/. 

参考文献

  • 中坊徹次 編『小学館の図鑑Z 日本魚類館』小学館、2018年。 ISBN 978-4-09-208311-0 

関連項目


   




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「クマドリカエルアンコウ」の関連用語

クマドリカエルアンコウのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



クマドリカエルアンコウのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのクマドリカエルアンコウ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS