キノコにつく菌類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:47 UTC 版)
菌類に寄生する菌類を菌寄生菌と言うが、その中には特にキノコを攻撃する例もある。特に有名なのはヤグラタケで、ベニタケ類のキノコに生じる。ヤグラタケ自身も標準的なキノコの形なので、大きなかさの上に小さなかさが並ぶという、特徴的な外見を呈する。また、タケリタケは未成熟のキノコについて、太い茎と展開しないかさとを持つ特異な形態に変形させる。 タンポタケやタマノリイグチなどは、地中性の子実体に寄生するので、発生状況を一見しただけでは菌寄生菌であると判断しにくく、宿主を切り離さないように掘り起こす必要がある。 カビの類でもキノコを攻撃するものがいくつかある。接合菌類に属するタケハリカビやフタマタケカビが有名で、前者ではキノコの上にまち針が並んだような、後者ではきのこ全体が綿をかぶったような姿になる。また、アワタケヤドリはタケリタケの一種の無性世代であるが、特にイグチ科の大型きのこの上に発生し、多量の無性胞子を形成して宿主を黄色い粉塊状におおう状態が野外でしばしば観察される。 以上はキノコの子実体そのものに寄生するものであるが、ボタンタケ(Hypocrea spp.)およびその無性型であるトリコデルマ(Trichoderma spp.)は、主として木材上に見出され、材の内部に生息する他のきのこの菌糸の内容物を吸収している。ときに、シイタケ栽培上で大きな害を生じることがある。また、真の菌類の一員ではないが、また、変形菌にもキノコを餌とする例がある。特に、ブドウフウセンホコリは有名で、別名をキノコナカセホコリという。
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