カール・シュミットにおける「例外状態」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 13:39 UTC 版)
「例外状態」の記事における「カール・シュミットにおける「例外状態」」の解説
カール・シュミットは、議会制民主主義に対して批判を行った人物である。議会制民主主義における諸政党は、社会的・経済的な利権集団に過ぎず、国家に対して責任を欠いている。彼らは自らの利益のために立法を重ねるため、そうした体制下での「議会制民主主義の発展」とは、政治的倫理・理念を欠いた妥協のための技術が磨かれたにすぎない。 また彼は、(特定集団の経済的利害に左右されない)真正の政治が秩序をもたらし、その秩序のもとで法が形成されるのが望ましいと考える。しかし、議会制民主主義下の日常はこれとは異なっており、「民主的に」(=様々な利権団体に翻弄され妥協を重ねながら)議会で法が定められるのが、議会制民主主義下の日常であると捉えている。 著書『政治神学』において、「主権者とは、例外状態に関して決断を下す者である。」と示されているように、彼にとって真正の政治が復権する状況の一つが「例外状態」であった。ヴァイマル憲法第48条(大統領緊急令など)は、非常事態(例外状態、Ausnahmezustand)において大統領が強力な執政権を行使することを認めており、たびたび国家的危機において緊急令が出されていた。とりわけ、世界恐慌後はヒンデンブルク大統領のもとで緊急令が濫発された。このヴァイマル共和国末期における権威主義的な体制は、彼の支持するところであった。
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