カンファースルタム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 19:12 UTC 版)
カンファースルタム(英語版)は、不斉補助剤としてよく用いられる化合物である。 大阪市立大学大学院理学研究科の大船泰史のグループは、マンザシジンBの全合成においてカンファースルタムを不斉補助剤として利用し、エナンチオ選択的なオキサゾリン骨格の形成を行った。オキサゾリジノンを不斉補助剤として用いた場合よりも高い立体選択性で(2S,3R)の立体化学を有する目的化合物を合成することができた。 カンファースルタムは、不斉マイケル付加の不斉補助剤としても利用される。n-ブチルリチウムを塩基として用いるとチオールがN-メタクリロイルカンファースルタムにマイケル付加を起こし、対応する付加体が高いジアステレオ選択性にて生成した。 また、カンファースルタムは不斉クライゼン転位の不斉補助剤としても応用される。カンファースルタムを装着したプロピオール酸誘導体にゲラニオールをオキシマイケル付加させた化合物を、ラジカル捕捉剤であるジブチルヒドロキシトルエン(BHT)存在下で140℃(トルエン溶媒、封管中)に加熱することにより、(2S,3R)の異性体が優先的に得られ、収率は72%となった。この反応により、第四級不斉炭素を含む2つの不斉中心を同時に構築することができた。
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