カルビン-ベンソン回路の調節
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「リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ」の記事における「カルビン-ベンソン回路の調節」の解説
暗所に置いた植物細胞に光照射すると炭酸固定速度がしばらく低い状態が続くが、次第に定常速度に到達する。これは、暗所でカルビン-ベンソン回路に関与する複数の酵素の活性が低下しているからである。RubisCOもそうした酵素のひとつである。しかしRubisCOは光そのものによって活性化されるわけではなく、以下の要素によって活性化される。 Mg2+の存在 pH 8.5程度の弱アルカリ 重炭酸イオン (HCO3−) の存在(ホモトロフィック効果) 2-カルボキシアラビニトール一リン酸量の低下 ATP要求性RubisCO活性化酵素による活性化 光によるRubisCO活性化と深く関わっているのは弱アルカリによる活性化である。光照射により葉緑体において光化学反応が起き、チラコイド内にプロトン (H+) が取り込まれるが、このときストロマ内のpHが上昇する。RubisCOはストロマ内に局在しており、活性化を受ける。また、チラコイドのプロトンの取り込みと同時に膜電位上昇に伴うMg2+の輸送がチラコイドからストロマ側に行われ、ここでもRubisCOの活性化を促進する。チラコイド、ストロマなどの構造は葉緑体の項を参照。 RubisCOは基質である重炭酸イオンの濃度上昇によって最大速度が上昇し、本酵素がアロステリック酵素であることを示している。また、RubisCOのカルボキシラーゼ反応の阻害剤となりうる2-カルボキシアラビニトール一リン酸は夜間に存在量が多く、昼間には低下する。さらにATP要求性RubisCO活性化酵素も、光化学反応によりストロマ側のATP濃度が上昇が活性化の鍵となる。すなわち、暗所では全ての要素が逆転し、RubisCOのカルボキシラーゼ反応を阻害する方向に働く。
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