エチル事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/20 10:23 UTC 版)
「投資家対国家の紛争解決」の記事における「エチル事件」の解説
カナダ連邦政府は1977年より国内で使用されてきたガソリン添加剤メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル(MMT)を、1990年に有害物質として禁止しようとしたが、有害性を実証できず、禁止に踏み込めずにいた。そのため1997年4月に連邦政府の専権事項である通商権限に基づき、MMTの国内外の流通を規制した。しかし、アルバータ州からカナダ国内通商協定に違反するとして提訴されたカナダ政府は、1998年に規制を撤回することになる。同じ年に、操業停止に追い込まれたとして、エチル社もカナダ政府を提訴し、カナダ政府はエチル社に1300 万ドルを払って和解した。環境保護よりも投資保護が優先されたとして諸国のNGO等が強く非難したが、本件は、必要な協議が十分に尽くされない(公正衡平待遇義務違反)まま実施された規制であって、「投資家 vs. 国家」、「環境保護 vs. 貿易・投資の自由化」のような単純な図式ではない。より多様な利害関係が交錯した出来事である。
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