エクマン輸送が生む海面の高低差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 04:21 UTC 版)
「大洋」の記事における「エクマン輸送が生む海面の高低差」の解説
海流を起こす力には、風または海水の密度および高低差等があり、陸地や海底の形状または水深の影響を受ける。大洋のような深い海では、これら海流を起こす作用に地球の自転から生じるコリオリの力が大きく影響し、その方向が曲げられる。恒常的に吹く風が大洋表面の水を風向きと同方向に動かそうとすると、そこにコリオリの力が加わって北半球では右に、南半球では左に振られる。この表面流の動きは直下の水も動かそうとするが、これにもコリオリの力が影響して更に振られてゆく。これが力を弱めながら深い水深まで段階的に積み重なり、海水全体では表面流以上の角度を持つ方向に流れる。沿岸など浅い海ではその角度は15度程度にとどまるが、深い海では45-90度にまで及ぶ。これはエクマン輸送と呼ばれる。 北半球の場合エクマン輸送によって、西風の偏西風は南向きに、東風の貿易風は北向きにそれぞれ海水を動かす。そしてこの間に水が集まり、海面が盛り上がる。すると今度は高い所から低い方への流れが生じるが、ここにもエクマン輸送の影響が及び方向が曲げられる。この結果、偏西風と貿易風の間には海面が高い場所が生じ、これを周回するように海流が生じる。この結果、北太平洋では日本列島南海上の水面が最も高くなり、逆に最も低くなるカムチャツカ半島沖とはジオイドからの高低差が1m以上になる。北大西洋ではフロリダ半島東沖合が最も高くなる。
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