ウラギンヒョウモンとは? わかりやすく解説

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裏銀豹紋蝶

読み方:ウラギンヒョウモン(uraginhyoumon)

タテハチョウ科チョウ

学名 Fabricina adippe


ウラギンヒョウモン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/06 09:36 UTC 版)

ウラギンヒョウモン
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
上科 : アゲハチョウ上科 Papilionoidea
: タテハチョウ科 Nymphalidae
亜科 : ドクチョウ亜科 Heliconiinae
: ヒョウモンチョウ族 Argynnini
: ウラギンヒョウモン属 Fabriciana
: ウラギンヒョウモン F. adippe
学名
Fabriciana adippe
(Denis & Schiffermüller, 1775)
和名
ウラギンヒョウモン(裏銀豹紋)
英名
High brown fritillary
亜種
  • F. a. pallescens

ウラギンヒョウモン(裏銀豹紋 学名Fabriciana adippe)は、チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科ドクチョウ亜科ヒョウモンチョウ族に属するチョウの一つ。

概要

夏の草原で見られるヒョウモン類では一般的。大型ヒョウモンの仲間で、翅表はヒョウモン類では一般的な模様だが、後翅裏には銀白色斑が顕著に現れる。ギンボシヒョウモンも同様に銀白色斑を持つが、後翅前縁に現れる銀白紋のうち外縁の銀白紋列を除いた内側の紋の数が本種では4つ、ギンボシは3つとなる点で区別できる。前翅表の黒条は性標で、雄にのみ現れる。

他の多くのヒョウモン類と同じく年一化性、幼虫越冬。食草は野生スミレ類。成虫は梅雨明けから晩夏にかけて発生し、花によく訪れる。クガイソウオカトラノオなどで吸蜜する姿がよく見られる。

分布

日本全土に分布するが、あまり数は多くない。国外ではヨーロッパから中央アジアシベリア中国大陸西部までの温帯域に広く分布する。

分類

従来日本個体群は亜種Agynnis (Fabriciana) adippe pallescens Butler, 1873とされていたが、日本個体群はサトウラギンヒョウモン・ヤマウラギンヒョウモン・ヒメウラギンヒョウモンの3種に分けられることが示唆されている。2005年に発表されたミトコンドリアDNAを用いた分子系統解析によると、日本個体群は大陸産のA. adippeとは別系統に属し、そのうちヤマウラギンヒョウモンはニセウラギンヒョウモンA. niobe (Linnaeus, 1758) と姉妹群を形成し、サトウラギンヒョウモン・ヒメウラギンヒョウモン・ボラックスウラギンヒョウモンA. vorax Butler, 1871・A. adippeからなる系統よりも初期に分岐したという結果が得られた[1]。サトウラギンヒョウモンとヒメウラギンヒョウモンはたがいに近縁であり、その姉妹群はボラックスウラギンヒョウモンとされた[1]。日本産3種は提唱から長らく学名未決定種であったが、2019年にはヒメウラギンヒョウモンA. kunikanei Shinkawa & Iwasaki, 2019・ヤマウラギンヒョウモンA. nagiae Shinkawa & Iwasaki, 2019の2種が新種記載された[2]。2015年に発表された交配実験により少なくとも2種間では生殖的隔離があることが判明している[3]。一方で2019年に発表された大陸産の近縁種を含めた交配実験ではサトウラギンヒョウモンとボラックスウラギンヒョウモンの間に生殖的隔離がなく、この2種と同系統のヒメウラギンヒョウモンを同一種とする説が提唱された[4]。この説に従うとサトウラギンヒョウモンの学名とされたA.palllescensおよびヒメウラギンヒョウモンのA. kunikaneiは、A. voraxの新参シノニムとなる[5]。また2022年には、オスのタイプ標本との比較からヒメウラギンヒョウモンの学名をA. pallescens・サトウラギンヒョウモンをA. locuples Butler, 1881とする説も提唱されている[6]

脚注

  1. ^ a b 新川勉・石川純「分子系統による日本産ウラギンヒョウモン3種と形態」『昆虫と自然』40巻 13号、ニューサイエンス社、2005年、4-7頁。
  2. ^ 新川勉・岩﨑郁雄『日本のウラギンヒョウモン』ヴィッセン出版、2019年。
  3. ^ 北原曜・伊藤建夫「分子系統により分割された日本産ウラギンヒョウモン2型のケージペアリング実験 : 2型は別種である」『蝶と蛾』66巻 3-4号、日本鱗翅学会、2015年、83-89頁。
  4. ^ 北原曜・Yuri Bakhaev・朝日純一・伊藤建夫・小原洋一「日本産ウラギンヒョウモン2種とボラックスウラギンヒョウモン、ニオベウラギンヒョウモンとの交配実験」『Butterfly Science』第14号、日本蝶類科学学会、2019年、50-56頁。
  5. ^ 日本チョウ類保全協会 編『フィールドガイド 増補改訂版 日本のチョウ』誠文堂新光社、2019年、204-207頁。
  6. ^ 小田康弘「ウラギンヒョウモン(ArgynnisFabriciana亜属)3種♂とタイプ標本の形態比較分析」『蝶と蛾』73巻 3-4 号、日本鱗翅学会、2022年、 67-92頁。

参考文献

  • 牧林功解説 『日本の蝶』成美堂出版、1994年、ISBN 4-415-08045-6
  • 日本環境動物昆虫学会編『チョウの調べ方』文教出版、1998年、ISBN 4-938489-11-2

関連項目


「ウラギンヒョウモン」の例文・使い方・用例・文例

  • ウラギンヒョウモンという
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