ウエッジ形燃焼室
シリンダー中心線に対して吸排気バルブを同じ側に傾けた燃焼室。燃焼室の断面を前から見ると、楔(ウエッジ)形をしているためこの名がある。吸排気弁の配置がインラインで、かつ弁数がおのおの1個の場合の燃焼室形状の一例であり、点火プラグ近傍に燃焼室容積が集中すること、燃焼室周辺部にスキッシュ形成部を容易に配置できることから燃焼が速く、吸排気ポートの曲がりを緩やかにすることができる。燃焼室の天井が傾斜していないバスタブ形に比べ、燃焼室内のガス流動を燃焼に有利なように発生させることができる。また、点火プラグのギャップ部を燃焼室の厚い部分に配置でき、高速燃焼に適しているが、吸排気ポートをシリンダーヘッドの同じ側面に開口しなくてはならないため、吸排気がUターンフローとなる。1970年代のガソリンエンジンに多く用いられたが、その後エンジンの4バルブ化とともに、より理想的な燃焼室形状である半球形燃焼室や多球形燃焼室に主流の座を奪われ、さらに4バルブ中心点火のぺントルーフ形燃焼室の出現により、乗用車用エンジンではほとんど姿を消した。なお、バルブの傾斜面としては9~15度のものが多い。とくにゼロ度およびその近傍のものをバスタブ形という。
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