ウィルソン・サイクルとは? わかりやすく解説

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ウィルソン‐サイクル【Wilson cycle】


ウィルソンサイクル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/19 07:44 UTC 版)

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ウィルソンサイクル(Wilson cycle)とは、海洋底大陸の分裂や形成を繰り返すサイクルのこと。カナダ地質学者ツゾー・ウィルソンによる提唱をきっかけに生まれた概念。

概念の誕生

ウィルソンサイクルは、大陸移動説を基にしてウィルソンによって提唱された概念である。まず、アルフレート・ヴェーゲナー大陸移動説海洋底拡大説では、大陸は動き、分裂すること、また、海洋底が形成されることが証明された。ウィルソンは、これに大きく関連するプレートテクトニクスの理論を、トランスフォーム断層の概念によって説明し、成立に大きく貢献した。以上のいくつかの概念・理論を発展させることによって、ウィルソンサイクルという概念は誕生した。

海洋底と大陸の分裂と形成

ウィルソンサイクルにおいて、海洋底や大陸の分裂や形成は、地殻の内側にあるマントルと硬い表層部であるプレートの動きによってもたらされている。基本的な大陸・海洋の分裂・形成の流れは以下のようなものである。

  1. 大陸下のマントルの上昇流により、大陸に断裂が出来る。
  2. やがて2つに断裂し、この分裂が進むと海洋プレートが出来、海洋が形成される。
  3. 海洋プレート海嶺によって生産が継続され、海洋が拡大する。
  4. 大陸プレートが移動し続けることにより、大陸プレート海洋プレートとの間に断裂が出来る。
  5. やがて軽くてマントルに沈み込めない大陸プレートの下に海洋プレートが沈み込み、列島や山脈が出来る。
  6. 海溝から海嶺が沈み込み、海洋底の生産が止まる。
  7. 海洋の生産が終わることで、海洋が縮小し、大陸どうしが接近する。
  8. 海洋が消滅、大陸が衝突し、山脈が形成される。

この過程が繰り返されることで、大陸の形成と消滅が起こっていると考えられ、この繰り返される流れのことをウィルソンサイクルと呼んでいる。

ウィルソンサイクルの一例

実例として、超大陸パンゲア大陸が形成されてから更に現在に至るまでの大陸の動きを挙げる。

パンゲアは、今から2億年ほど前に誕生したと考えられている。そしてこの後、再び分裂を繰り返し、現在の形に至ったと考えられている。このことは、北米大陸・南米大陸東海岸線とヨーロッパ大陸(ユーラシア大陸西部)・アフリカ大陸西海岸線とが、ほぼ一致することからも裏付けられている。超大陸が誕生すると、その下にあるマントルの放出が妨げられる。それによって、マントルの上昇流が超大陸の下に集中し、再び大陸が断裂していく。これをブランケット効果と呼ぶ。これにより、海洋が誕生、新たな大陸が形成される。

超大陸は3~4億年の周期で離合集散を繰り返しているとされ、上記で挙げた超大陸(パンゲア)の他、「ゴンドワナ大陸」が約6億年前に、「ロディニア大陸」が約10億年前に誕生したと推定されている。また、このような大陸の衝突や分裂によって出来た地形として、上記のパンゲア大陸形成において各大陸が衝突した際に形成されたアパラチア山脈や、今現在アフリカ大陸がヨーロッパ大陸へ衝突していく際に形成されているヨーロッパアルプス山脈、インド亜大陸がアジア大陸に衝突した際に形成されたヒマラヤ山脈などが例として挙げられる。

参考文献

  • 「地球のしくみ」(新星出版社、編:新星出版社編集部、2006年)
  • 「地球学へのいざない」(大阪公立大学共同出版社、編:OMUPユニヴァ編集部、発行:桑原孝雄、2003年)
  • 「流体的地球像」(放送大学教材、著:福田正巳・濱田隆士、発行:放送大学教育振興会、2003年)
  • 「地球の探究」(朝倉書店、編:大原隆・西田孝・木下肇、発行:朝倉邦造、1989年)
  • 「大学テキスト自然地理学下巻」(古今書院、著:大山正雄・大矢雅彦、発行:橋本寿資、2004年)
  • 「地球の内部で何が起こっているのか?」(光文社、著:平朝彦・徐垣・末廣潔・木下肇、発行:古谷俊勝、2005年)
  • 「変化する地球環境」(放送大学教材、著:木村龍治、発行:放送大学教育振興会、2004年)
  • 「地球と環境の科学」(東京教学社、著:木下紀正・八田明夫、発行:鵜飼好男、2002年)


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