イノセント・デイズ
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| イノセント・デイズ | ||
|---|---|---|
| 著者 | 早見和真 | |
| 発行日 | 2014年8月20日 | |
| 発行元 | 新潮社 | |
| ジャンル | サスペンス | |
| 国 | |
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| 言語 | 日本語 | |
| 形態 | 四六判 | |
| ページ数 | 348 | |
| 公式サイト | www.shinchosha.co.jp | |
| コード | ISBN 978-4-10-336151-0 ISBN 978-4-10-120691-2(文庫本) |
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『イノセント・デイズ』は、早見和真によるミステリー小説。2013年4月号から2014年4月号まで『小説新潮』に掲載され、加筆修正ののち2014年8月20日に新潮社から単行本が刊行された。
2015年、第68回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門を受賞した[1]。
死刑囚となった女性をその周りの人々の視点から描いたミステリーで[2]、テレビや新聞が報じる事件の向こう側には何があるのかが描かれている[3]。
2018年、WOWOWの連続ドラマWでテレビドラマ化された。
あらすじ
- プロローグ
- 横浜緑区の木造アパートのドアの前にまかれた灯油に放火され、母親美香と1歳の双子の姉妹が焼死する。夫の井上敬介は夜勤のため難を逃れる。田中幸乃(24歳)が逮捕され罪を認める。2年前に幸乃は交際相手の敬介から一方的に別れ話を持ち出され、捨てられることに怯えストーカー行為を繰り返す。敬介は、美香の妊娠を機に携帯の番号を変え、現在のアパートに引っ越すが、半年前の不注意な送金により居所を知られ、再びストーカー行為が始まる。事件は世間の耳目を集め、幸乃の出生や、中学時代の強盗致傷事件などの過去も大々的に報道される。死刑判決が下り、幸乃は控訴しなかった。
- 丘の探検隊
- 田中ヒカルは17歳のとき妊娠し、子どもの父親とは異なる男性と結婚して幸乃を産む。野田家は1歳年上の陽子との4人家族で笑い声の溢れる幸せな家庭であった。幸乃が3年生のとき、近所の丹下翔、佐々木慎一、陽子と4人で「丘の探検隊」と称して一緒に遊び、誰かが悲しい思いをしたら、みんなで助けてあげることを約束する。ヒカルが交通事故死すると父親は幸乃に暴力をふるうようになり、幸乃は幸乃が必要だとするヒカルの母親の美智子に引き取られる。
- 小曽根理子の罪を引き受けて
- 田中姓となった幸乃の小中学校時代は悲惨なものであり、中学生になると美智子と付き合っている男性から性の対象とされ、美智子から疎まれる。中学校の唯一の友だちである小曽根理子は、佐木古書店のレジからお金を盗み出すところを店主の老女に見つかり、思わず突き飛ばしてしまう。理子は母親が悲しむと幸乃に身代わりを頼み、幸乃はあっさり受け入れ、救護院に送られる。
- ずっと死にたいと思っていた
- 救護院を出た幸乃は、自分を必要だと言ってくれた井上敬介と付き合うようになるが、すぐに敬介の関心は美香に移っていく。別れ話を切り出され、邪険にされても、幸乃は敬介から離れられない。八田聡の忠告に、幸乃は「彼に捨てられたら私は生きている価値が無い」と返す。ヒカルが死んでから幸乃はずっと死にたいと思っており、絶望するたびに自分を必要とする人が現れた。敬介が姿を消したときは取り乱したものの、次第に落ち着き、あとは誰にも迷惑をかけず、静かに死ねる場所を探すつもりだった。
- 冤罪と死刑執行
- 弁護士となった丹下翔は、幸乃のこころを理解できない。一方、慎一は佐木古書店の事件の真相を知っており、さらに、傍聴した裁判で幸乃にまっすぐ見据えられ、放火事件も冤罪ではないかと考える。八田は慎一を事件の真相を知っているらしい老婆に引き合わせる。死刑判決後6年目の春に慎一は、「丘の秘密基地」の満開の桜を目にし、帰りの電車内で幸乃への手紙を書き、ロウで固めた桜の花びらを同封する。幸乃からの返信には生きることを放棄する内容が綴られている。慎一は幸乃の文面の一部を挿入したメールを老婆に出し、放火事件の真相を聞き出す。同じ日に死刑執行命令を受けた佐渡山刑務官が出房を告げたとき、幸乃はピンクの花びらをすりガラスの方に掲げる。幸乃の表情には濁りはない。幸乃は、「私を必要としてくれる人に見捨てられるのが怖いんです」という言葉を残し、左手に桜の花びらを握りしめながら執行室に入っていく。
登場人物
- 田中幸乃
- 元恋人の家に放火した罪で死刑判決を受け服役中。事件前には何度も整形手術を受けていて「整形シンデレラ」とマスコミから呼ばれている。母・ヒカルと同じ持病を持っている。
- 佐々木慎一
- 幸乃の幼馴染。子どもの頃から「丘の探検隊」という仲間を組み幸乃のことを助けていた。幸乃が小曾根と一緒にいたところを偶然見ており、幸乃が無罪であると判決を覆そうと尽力する。
- 丹下翔
- 幸乃と慎一の幼馴染。「丘の探検隊」の仲間。弁護士で、幸乃のニュースを知り支援団体を立ち上げる。
- 野田ヒカル
- 幸乃の母親。シングルマザーになるところを結婚し、幸乃を出産した後は幸せな家庭を築いていたが、幸乃が小学生の頃に車を運転中、持病の発作を起こして交通事故で亡くなる。
- 田中美智子
- 幸乃の祖母。スナックを営んでいる。娘のヒカルが亡くなり、孫の幸乃を強引に引き取る。
- 小曾根理子
- 中学の時に孤立していた幸乃の唯一の友達。当時、幸乃にある身代わりを頼み罪悪感を抱えている。今は翻訳家の仕事に就いている。
- 倉田陽子
- 幸乃の義姉で母の再婚相手の連れ子。子どもの頃から「丘の探検隊」の仲間とともに母と同じ病気を持つ妹を支えていた。
- 丹下健生
- 幸乃の母・ヒカルが17歳で幸乃を出産した時に立ち会った産婦人科医で、丹下翔の祖父。
- 井上敬介
- 幸乃の元恋人。破局後、別の女性と結婚し双子の子どもを授かるが、幸乃はストーカー行為をエスカレートさせていく。
- 八田聡
- 幸乃の元恋人・敬介の親友。2人が付き合っていた時の事をよく知っており、マスコミが報じる幸乃の実像がかけ離れていると感じている。
- 草部武
- 放火事件があった井上家が住んでいたアパートの大家の老人。幸乃を家に上げて話を聞いたこともある。
- 佐渡山瞳
- 幸乃を担当する女性刑務官。丹下翔との面会の様子や佐々木慎一からの手紙を読んだ幸乃の様子や、普段の幸乃に接するうちに冤罪ではないかとの疑念を持つ。
テレビドラマ
| イノセント・デイズ | |
|---|---|
| ジャンル | テレビドラマ |
| 原作 | 早見和真 『イノセント・デイズ』 |
| 企画 | 妻夫木聡 井上衛 鈴木俊明 |
| 脚本 | 後藤法子 |
| 監督 | 石川慶 |
| 出演者 | 妻夫木聡 竹内結子 新井浩文 芳根京子 ともさかりえ 長谷川京子 池内博之 山中崇 芦名星 佐津川愛美 清原果耶 田口浩正 原日出子 石橋蓮司 余貴美子 |
| 音楽 | 窪田ミナ |
| 製作 | |
| プロデューサー | 井上衛 橘佑香里 平部隆明 |
| 制作 | WOWOW |
| 放送 | |
| 放送国・地域 | |
| 放送期間 | 2018年3月18日 - 4月22日 |
| 放送時間 | 日曜 22:00 - 23:00 |
| 放送分 | 60分 |
| 回数 | 6 |
| 公式サイト | |
2018年3月18日から4月22日まで、毎週日曜日22時 - 23時にWOWOWの連続ドラマWで放送された。全6話。
妻夫木聡が主演し企画も担当[4]。 2014年、妻夫木が主演した映画『ぼくたちの家族』の原作者・早見和真が執筆した本作に妻夫木が惚れ込み、ドラマ化を強く熱望し実現した[4]。
キャスト
主要人物
その他
- 佐々木朋子 - 原日出子
- 田中美智子 - 余貴美子
- 倉田陽子 - ともさかりえ
- 小曾根理子 - 長谷川京子(中学時代:池田朱那)
- 井上敬介 - 池内博之
- 八田聡 - 山中崇
- 野田ヒカル - 佐津川愛美
- 草部武 - 石橋蓮司
- 水野恭子 - 馬渕英里何
- 井上美香 - 芦名星
- 皐月 - 越後はる香
スタッフ
| WOWOW 連続ドラマW枠 | ||
|---|---|---|
| 前番組 | 番組名 | 次番組 |
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監査役 野崎修平
(2018年1月14日 - 3月4日) |
イノセント・デイズ
(2018年3月18日 - 4月22日) |
60 誤判対策室
(2018年5月6日 - 6月3日) |
脚注
- ^ “2015年 第68回 日本推理作家協会賞”. 日本推理作家協会. 2018年3月30日閲覧。
- ^ “池松壮亮、仕事観を語る「苦しく辛い時が幸せ」”. デイリー新潮. 2018年3月30日閲覧。
- ^ “池松壮亮のリヴァー・フェニックスっぽさに刺激を受けて新作を書いた…人気作家が明かす”. シネマトゥデイ (2014年11月6日). 2018年3月30日閲覧。
- ^ a b “WOWOW「連続ドラマW イノセント・デイズ」放送スタート! 映画と遜色のないクオリティと映像美が魅せる渾身のドラマ”. Mikiki (2018年3月12日). 2018年3月30日閲覧。
外部リンク
- イノセント・デイズのページへのリンク