アルヴィン・ルシエとは? わかりやすく解説

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アルヴィン・ルシエ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/29 09:35 UTC 版)

アルヴィン・ルシエ(Alvin Lucier、1931年5月14日 - 2021年12月1日)は、アメリカ合衆国作曲家、現代音楽家である[1]

聴覚現象、音響学、物理空間、そしてテクノロジーを音楽的探求の対象とする実験音楽(エクスペリメンタル・ミュージック)の分野におけるパイオニアとして知られている。

概要

ニューハンプシャー州生まれ、コネチカット州在住(2021年逝去)。

ルシエは、従来の音楽の枠組みを超え、聴覚現象、物理空間の音響特性、電気テクノロジーなどを利用した概念的・空間的な作品を多数発表した。彼の作品の多くは、音波干渉によって生まれる「うなり(ビート)」などの現象を意図的に引き出し、音そのものが持つ特性や、音を聴く人間の知覚に焦点を当てている。

経歴

主な作品

ルシエの作品は、楽器演奏だけでなく、人間の脳波、特殊な装置、空間の残響などを利用するものが特徴である。

発表年 作品名 概要
1965年 Music for Solo Performer 脳波(アルファ波)を増幅し、その信号をスピーカーに送り、スピーカーコーンの振動によってパーカッション楽器を共鳴させる、歴史上初の「脳波」を用いた音楽作品[3]
1969年 I Am Sitting in a Room 作曲家自身の声が、録音と再生を繰り返すごとに部屋の固有な周波数によって歪み、次第に純粋な残響音に変化していく作品。音響空間の特性を浮き彫りにした代表作で、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に購入されている。
1977年 Music on a Long Thin Wire 長いワイヤー電流を流し、その振動と電磁石の作用によって音を生み出し、ワイヤーの長さや張力、温度、気圧などの物理的環境の変化に応じて音が変化していくインスタレーション作品。
1995年 Music for Piano with Magnetic Strings ピアノの弦にE-bow(イーボウ、磁力で弦を振動させる装置)を設置し、ピアノの共鳴現象やうなりを発生させる作品。
近年 Works for the Ever Present Orchestra 2010年代以降に作られた、エレキギターなどのアンサンブルのための作品群。音波の干渉による「うなり(ビート)」に焦点を当てたものが多く、聴覚的な現象を探求し続けている[4]

脚注

  1. ^ ICC | アルヴィン・ルシエ”. NTT インターコミュニケーション・センター [ICC]. 2025年10月29日閲覧。
  2. ^ MoMA | Collecting Alvin Lucier’s I Am Sitting in a Room”. www.moma.org. 2025年10月29日閲覧。
  3. ^ pelodelperro (2025-08-06), Alvin Lucier - Music for Solo Performer, https://www.youtube.com/watch?v=gMOSqMRPnS0 2025年10月29日閲覧。 
  4. ^ Ever Present Orchestra”. everpresentorchestra.net. 2025年10月29日閲覧。

関連項目




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