アキシアル(アピカル)位とエクアトリアル位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/10 07:43 UTC 版)
「三方両錐形分子構造」の記事における「アキシアル(アピカル)位とエクアトリアル位」の解説
中心原子に結合した5つの原子は全て等価ではなく、2つの異なる位置が定義される。五塩化リンを例にとると、リン原子は、エクアトリアル位の互いに120° の角度にある3つの塩素原子と同じ平面上にあり、さらに2つの塩素原子がこの平面の上と下にある(アキシアル位またはアピカル位)。 分子の幾何配置のVSEPR理論によれば、アキシアル位原子は3つのエクアトリアル位と90° の角度で隣接しているためより混んだ位置にあり、それに対してエクアトリアル位は2つの原子としか90° の角度で隣接していない。5つの同一配位子を持つ分子では、アキシアル位配位子は中心原子に密接することができないため、アキシアル位原子と中心原子との結合長はより長い傾向にある。例として、PF5ではアキシアルP–F結合長は158 pm、エクアトリアル結合長は152 pmであり、PCl5ではアキシアルおよびエクアトリアル結合長はそれぞれ214おおよび202 pmである。 混合ハロゲン化物のPF3Cl2では、塩素原子がエクアトリアル位の2つを占める。このことは、フッ素がより大きなアピコフィリシティー(英語版) (アキシアル位を占める傾向)を持っていることを示している。一般に、配位子のアピコフィリシティーは電気陰性度やπ電子求引能が増すにつれて大きくなる(Cl < F < CN)。どちらの因子もアキシアル位における込み合いがより重要でなくなるように、中心原子近くの結合領域における電子密度を低下させる。
※この「アキシアル(アピカル)位とエクアトリアル位」の解説は、「三方両錐形分子構造」の解説の一部です。
「アキシアル(アピカル)位とエクアトリアル位」を含む「三方両錐形分子構造」の記事については、「三方両錐形分子構造」の概要を参照ください。
- アキシアル位とエクアトリアル位のページへのリンク