アインシュタイン模型
(アインシュタインの比熱式 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/19 01:47 UTC 版)
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アインシュタイン模型(英: Einstein model)とは、固体の比熱[注 1] CV の温度依存性を説明するために、アインシュタインが提唱した固体の格子振動に関する模型のことである。N個の同種原子からなる結晶の格子振動を、N個の独立な3次元調和振動子とみなし、且つ全てが同じ角振動数 ωE を持つとした。
アインシュタインは、1906年に執筆した論文『輻射に関するプランクの理論と比熱の理論』[1][注 2]および1910年に執筆した論文『一原子分子からなる固体における弾性的性質と比熱の関係』[2][注 3]でこの理論を発表した。
歴史的経緯
1907年にアインシュタインが提唱したこの理論は、歴史的に見ても大きな意味を持つ。経験則であるデュロン-プティの法則で予測される固体の比熱は、古典力学では温度に依存しないはずであった。しかし、低温での実験では、絶対零度で熱容量がゼロに変化することがわかった。温度が上がると比熱は上昇し、高温になるとデュロン-プティの法則に近づく。アインシュタインの理論は、プランクの量子仮説を用いることで、実験的に観測された比熱の温度依存性を初めて説明することに成功した。これは光電効果とともに、量子化の必要性を示す最も重要な証拠のひとつとなった。
格子比熱
格子振動のエネルギーが関与する比熱を格子比熱(英: lattice specific heat)と呼ぶ。格子振動を量子化したフォノンのエネルギーは、フォノンの波数ベクトルを k、フォノンの振動モードを α として、
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