的を得る
的を得る(まとをえる)は、事の要点を的確に捉えている・本質を突いている・理にかなった正しい見方である・まったくその通りである、といった意味で用いられることのある言い回し。誤用か否かで解釈が揺れた表現。
「的を得る」は誤用か、それとも正しい表現か、という議論の詳細
「的を得る」という表現は誤用か否かを巡る議論があり、「的を得る」は誤用とする解釈が半ば標準的な見解となっていた。この「的を得る」という言い回しには、「当を得る」・「的を射る」・「正鵠を得る」・「正鵠を射る」と、意味も用法もほぼ同じ同等の類似表現が多くある。「的を得る」は、これらの表現が混同されてできた表現であり、したがって誤用であるとされてきた。
「得る」という動詞は、主に「手に入れる」という意味合いで用いられる。しかし「的」は、射るものであって入手するようなものではない。このような解釈では字義に無理が生じるわけである。
三省堂国語辞典は、この「的を得る」という表現を長らく誤用として扱ってきたが、改版にあたり再検証を実施、その結果、「得る」の字義を「うまく捉える」の意と捉えれば「的を得る」も誤用とは当たらないと結論づけ、《「的を得る」は「的を射る」の誤り》という従来の記述を撤回している。
「得る」の字義を「うまく捉える」と捉えられる表現の例として、三省堂は「当を得る・要領を得る・時宜を得る」 を挙げている。
関連サイト:
「三省堂国語辞典」編集委員・飯間浩明のTwitter(@IIMA_Hiroaki) 2013年12月15日
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