ひとつの動機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/19 14:56 UTC 版)
位相空間 X 上の層 A , B , C {\displaystyle {\mathcal {A}},{\mathcal {B}},{\mathcal {C}}} の短完全系列とは、 0 → A → φ B → ψ C → 0 {\displaystyle 0\ \rightarrow {\mathcal {A}}\ {\stackrel {\varphi }{\rightarrow }}\ {\mathcal {B}}\ {\stackrel {\psi }{\rightarrow }}\ {\mathcal {C}}\ \rightarrow \ 0} が完全列である場合をいう。すなわち、 φ {\displaystyle \varphi } が単射で、 ψ {\displaystyle \psi } が全射で、 Im φ = Ker ψ {\displaystyle \operatorname {Im} \varphi =\operatorname {Ker} \psi } が成立することである。この系列が完全系列であることと、 φ {\displaystyle \varphi } が単射であり、かつ、 C ≅ B / A {\displaystyle {\mathcal {C}}\cong {\mathcal {B}}/{\mathcal {A}}} であることとは同値である。この短完全系列からは、層の切断の系列が導出される。 0 → Γ ( X , A ) → φ ∗ Γ ( X , B ) → ψ ∗ Γ ( X , C ) {\displaystyle 0\ \rightarrow \ \Gamma (X,{\mathcal {A}})\ {\stackrel {\varphi _{*}}{\rightarrow }}\ \Gamma (X,{\mathcal {B}})\ {\stackrel {\psi _{*}}{\rightarrow }}\ \Gamma (X,{\mathcal {C}})} が得られる。しかしながら、一般に ψ ∗ {\displaystyle \psi _{*}} が全射であるとは限らない。この系列の右側にどのような系列を補完すると、長完全系列が出来上がるのかということが、層コホモロジーの動機のひとつである。代表的な例として、クザン問題がある。
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