ねじれ角とは? わかりやすく解説

二面角

(ねじれ角 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 02:37 UTC 版)

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二面角(にめんかく、: dihedral angle)は、2つの平面(またはその部分集合)がなす角度である。たとえば、二面角が0なら2面は平行(同一の場合を含む)で、π/2(90°)なら垂直である。

二面角は、法線同士の角度として定義される。つまり、2面の法線ベクトルabとすると二面角 φ

配置の名称 syn n-ブタン
ニューマン投影式 syn n-ブタン
のこぎり台投影式
二面角の関数としてのブタンの自由エネルギー図。

立体化学において、例えば X…A-B…Y (…は任意の結合次数を持つ結合)のような単結合を持つ分子には、A-B 結合回りの立体配座が異る立体異性体が存在する。この異性体を区別するため、X, A, B の成す平面と A, B, Y の成す平面との間の二面角を用いることができる[3]0°±90°の間の角度に対応する立体化学配置はシン(syn、s)と呼ばれ、±90°±180°の間の角度に対応する配置はアンチ(anti、a)と呼ばれる。同様に、30°150°あるいは−30°−150°の間の角度に対応する配置はクリナル(clinal、c、反っているの意)、±30°あるいは±150°±180°の間はペリプラナー(periplanar、p、平面に近いの意)と呼ばれる。

これら2種類の用語を組み合わせて角度の4つの領域を定義できる。から±30°はシンペリプラナー(sp)、30°から90°および−30°から−90°はシンクリナル(sc)、90°から150°および−90°から−150°はアンチクリナル(ac)、±150°から180°はアンチペリプラナー(ap)である。シンペリプラナー配座はシン (syn-) あるいはシス(cis-)配座、アンチペリプラナーはアンチ(anti)あるいはトランス(trans)、シンクリナルはゴーシュ(gauche)あるいはスキュー(skew)とも呼ばれる。

例えば、n-ブタンでは、2つの中心炭素原子と両端のメチル基の炭素原子の一方の観点から2つの面を特定することができる。上に示されている二面角60°のシン配座は二面角180°のアンチ配座よりも不安定である。

高分子では、記号T、C、G+、G、A+、Aが推奨される(それぞれap、sp、+sc、-sc、+ac、-acに対応する)。

タンパク質の二面角

タンパク質の描写。主鎖の二面角が示されている。

1963年にG・N・ラマチャンドラン、C・ラマクリシュナン、V・サシセカランによって開発された[4]ラマチャンドラン・プロットタンパク質構造中のアミノ酸残基の主鎖の二面角 φ に対してエネルギー的に許容される角度 ψ の領域を可視化する方法である。右の図は主鎖の二面角 φ および ψ の定義を表わしている[5]

タンパク質鎖では、図に示されているように3つの二面角 φ(ファイ)、 ψ (プサイ)、 ω (オメガ)が定義される。ペプチド結合の平面性によって、 ω180°(典型的なトランス配座)あるいは(稀なシス配座)に大抵制限される。トランスおよびシス異性体におけるCα原子間の距離はそれぞれ約3.8, 2.9 Åである。シス異性体は主に、Xaa-Proペプチド結合(Xaaは任意のアミノ酸)において観察される。

側鎖の二面角は180°60°−60°近くに集まる傾向にあり、それぞれトランス、ゴーシュ+、ゴーシュ配座と呼ばれる。特定の側鎖の二面角の安定性は隣接した主鎖および側鎖の二面角によって影響される。例えば、原子同士の衝突が増大するためゴーシュ+配座の次にゴーシュ+配座が続くのは稀である。

脚注

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  1. ^ IUPAC, Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the "Gold Book") (1997). オンライン版:  (2006-) "dihedral angle".
  2. ^ IUPAC, Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the "Gold Book") (1997). オンライン版:  (2006-) "torsion angle".
  3. ^ Anslyn, Eric; Dennis Dougherty (2006). Modern Physical Organic Chemistry. University Science. p. 95. ISBN 978-1891389313 
  4. ^ Ramachandran, G.N.; Ramakrishnan, C.; Sasisekharan, V. (1963). “Stereochemistry of polypeptide chain configurations”. Journal of Molecular Biology 7: 95–9. doi:10.1016/S0022-2836(63)80023-6. PMID 13990617. 
  5. ^ Richardson, J.S. (1981). “Anatomy and Taxonomy of Protein Structures”. Advances in Protein Chemistry. Advances in Protein Chemistry 34: 167–339. doi:10.1016/S0065-3233(08)60520-3. ISBN 9780120342341. PMID 7020376. 

ねじれ角

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/06 18:50 UTC 版)

まがりばかさ歯車」の記事における「ねじれ角」の解説

まがりばかさ歯車におけるねじれ角は、ピッチ円錐の母線と歯のなす角度であり、複数の定義がある。 平均ねじれ角:平均円錐直径における角度 外ねじれ角:クラウン・ギア外径における角度 内ねじれ角:クラウン・ギア内径における角度

※この「ねじれ角」の解説は、「まがりばかさ歯車」の解説の一部です。
「ねじれ角」を含む「まがりばかさ歯車」の記事については、「まがりばかさ歯車」の概要を参照ください。

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