その他の祖先牛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/15 07:50 UTC 版)
ショートホーン種が品種として確立する以前の祖先牛のうち、何頭かがその個体名が伝わっている。ダチェス号(Duchess)、チェリー号( Cherry)、ストロベリー号(Strawberry)、オールドフェイヴァリット号(Old Favourite)などがそれにあたる。なかでも最もよく知られているのが赤褐色と白色の毛が混じった雄牛「ハバック号(Hubback)」である。 ハバック号自身はコリング兄弟が生産したウシではなく、ダーリントンの牛市で買い付けたウシだった。これを見出したのは弟のチャールズのほうで、兄ロバートに勧めてこれを8ギニーで落札させた。のちにこれをチャールズが譲り受け、「ハバック号」と命名した。ハバック号はチャールズのケットン農場で種牛になり、後に有名となる「ダチェス号(Duchess)」、「デイジー号(Daisy)」、「チェリー号(Cherry)」、「レディメイナード号(Lady Maynard)」などの雌牛に配合された。 コメット号、ダラムオックス号などの父フェイヴァリット号は、祖父Foljambe号の近親交配(インブリード)を持っている。そのFolijambe号の母の父がハバック号である。 後世の研究者たちは、コリング兄弟によるショートホーン種創出にあたり、ハバック号が果たした役割は大きいと考えている。コリング兄弟は在来のウシの系統繁殖を繰り返したが、そうした近親交配を重ねることはウシの体質を弱くする可能性がある。ハバック号自身は地元の在来種とは異なるタイプのウシだったと考えられており、外部から導入したハバック号の血脈は、コリング兄弟による強い近親交配によって生じうる弊害を防ぐ役割を果たしたとみなされている。19世紀の文献では、サラブレッド生産で「異系血脈」としてのヘロド系を血統に持っているものが名馬になったのと同じように、ショートホーン種が優れたウシになるにあたって、ハバック号は活力を与える異系の血として作用したと評している。
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