かえるくん、東京を救う
作者村上春樹
収載図書神の子どもたちはみな踊る
出版社新潮社
刊行年月2000.2
収載図書神の子どもたちはみな踊る
出版社新潮社
刊行年月2002.3
シリーズ名新潮文庫
収載図書村上春樹全作品1990〜2000 3 短篇集2
出版社講談社
刊行年月2003.3
収載図書はじめての文学 村上春樹
出版社文藝春秋
刊行年月2006.12
かえるくん、東京を救う
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/12 15:52 UTC 版)
かえるくん、東京を救う | |
---|---|
作者 | 村上春樹 |
国 |
![]() |
言語 | 日本語 |
ジャンル | 短編小説 |
シリーズ | 地震のあとで |
発表形態 | 雑誌掲載 |
初出情報 | |
初出 | 『新潮』1999年12月号 |
刊本情報 | |
収録 | 『神の子どもたちはみな踊る』 |
出版元 | 新潮社 |
出版年月日 | 2000年2月25日 |
シリーズ情報 | |
前作 | タイランド |
次作 | 蜂蜜パイ |
![]() ![]() |
『かえるくん、東京を救う』(かえるくん、とうきょうをすくう)は、村上春樹の短編小説。
概要
村上は『新潮』1999年8月号から12月号まで、「地震のあとで」と題する連作の短編小説を続けて掲載した。本作品は12月号に発表されたその5作目。
タイトル | Super-Frog Saves Tokyo |
---|---|
翻訳 | ジェイ・ルービン |
初出 | 『GQ』2002年6月号 |
収録書籍 | 『after the quake』(クノップフ社、2002年8月) |
柴田元幸が東京大学文学部で行った翻訳演習の授業に、本短編の英訳版が用いられた。このときの授業内容はほぼそのまま柴田の『翻訳教室』(新書館、2006年2月)に収録された。NHKラジオ第2の語学番組「英語で読む村上春樹」(2013年4月放送開始)の教材にも使われている[1]。
各国語の翻訳の詳細は「神の子どもたちはみな踊る#翻訳」を参照のこと。
2017年、フランス人作家によるコミカライズ作品として、「かえるくん、東京を救う (HARUKI MURAKAMI 9 STORIES)」がある。
あらすじ
![]() | この節の加筆が望まれています。 |
片桐がアパートの部屋に戻ると、巨大な蛙が待っていた。蛙は「ぼくのことはかえるくんと呼んでください」と言い、片桐に早くドアを閉めて中に入るよう促した。
片桐は蛙が返済金の交渉のために遣わされた「クミの関係者」と思う。かえるくんは片桐が「東京安全信用金庫新宿支店融資管理課の係長補佐」をしていることを知っていて、これは借金の返済とは関係のない話だと答える。
「ぼくがここにやってきたのは、東京を壊滅から救うためです」
壊滅とはかえるくんによれば地震だという。地震は3日後の2月18日の朝8時半頃に東京を襲い、それに伴う死者はおおよそ15万人とのことだった。震源地は東京安全信用金庫新宿支店の真下。片桐はかえるくんと共に地下に降り、みみずくんと闘い、地震を阻止する。それがかえるくんの言わんとするところだった。
2月17日の夕方に片桐は狙撃された。そして目が覚めたとき、片桐は病院のベッドに横たわっていた。
その日の夜中、かえるくんが病室に現れる。かえるくんはスチールの椅子に腰をおろし、壁にもたれてかかっていた。
「闇の中でみみずくんと闘いながらドストエフスキー[2]の『白夜』のことをふと思いだしました」とかえるくんは言った。
舞台化
- 神の子どもたちはみな踊る#舞台化を参照。
映像化
2022年に、本作と「バースデイ・ガール」「かいつぶり」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」「めくらやなぎと眠る女」を翻案したカナダ・フランス・ルクセンブルク・オランダの国際共同制作のアニメ映画『めくらやなぎと眠る女(原題:Saules Aveugles, Femme Endormie)』が制作された[3]。
2025年に、本作と「UFOが釧路に降りる」「アイロンのある風景」「神の子どもたちはみな踊る」を原作としたオムニバスのテレビドラマ『地震のあとで』がNHK総合の「土曜ドラマ」枠で放送される[4]。原作の舞台を1995年だけでなく、2025年にいたる設定に置き換えることで、“今”に続く“地震のあと”の30年の時間を描いており[4]、第4話は本作の続編と設定され『続・かえるくん、東京を救う』と題されて舞台は2025年に変更されている。
ラジオ
- ラジオ深夜便ではラジオドラマ化されている[要出典]。
- NHKラジオ第2の「朗読」にて、2012年1月に「特集 村上春樹を読む」の1作として放送。朗読は松たか子。[5]
- NHKラジオ第1の「朗読」にて、2025年1月4日から5日に全5回で放送。朗読は塚地武雅。[6]
脚注
- ^ これを元に『村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解』(NHK出版、2014年7月)が出版された。
- ^ 本作が収録された短編集『神の子どもたちはみな踊る』のエピグラフに、ドストエフスキーの『悪霊』の一節(江川卓訳)が引用されている。
- ^ めくらやなぎと眠る女公式サイトユーロスペース
- ^ a b “岡田将生×鳴海唯×渡辺大知×佐藤浩市が主人公の4つの物語 『地震のあとで』4月5日より放送”. Real Sound | リアルサウンド映画部. blueprint (2025年2月17日). 2025年2月17日閲覧。
- ^ 小山鉄郎 (2012年1月26日). “「村上春樹を読む」(10) 朗読の力、村上春樹を聴く体験 松たか子さんによる「かえるくん、東京を救う」など”. 47NEWS. 共同通信社. 2025年1月9日閲覧。
- ^ “中村慶子アナおすすめ! 年末年始の番組をご紹介!”. NHKラジオ らじる★らじる. 読むらじる。. 日本放送協会 (2024年12月28日). 2025年1月9日閲覧。
関連項目
- はじめての文学 村上春樹
- 翻訳教室
- すずめの戸締まり (2022年公開のアニメーション映画、本作の影響を強く受けている)
- 輪るピングドラム (「かえるくん⚪︎⚪︎を救う」というオマージュ作品が多数登場する。)
- かえるくん、東京を救うのページへのリンク