いわき信用組合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/04 04:12 UTC 版)
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いわき信用組合本店
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| 種類 | 信用協同組合 |
|---|---|
| 略称 | いわしん |
| 本社所在地 | 〒971-8162 福島県いわき市小名浜花畑町2番地の5 北緯36度57分8.1秒 東経140度54分9.7秒 / 北緯36.952250度 東経140.902694度座標: 北緯36度57分8.1秒 東経140度54分9.7秒 / 北緯36.952250度 東経140.902694度 |
| 設立 | 1948年7月31日 |
| 業種 | 銀行業 |
| 法人番号 | 5380005005753 |
| 金融機関コード | 2092 |
| 事業内容 | 預金の受入れ、資金の貸出し 他 |
| 代表者 | 金成茂(理事長) |
| 資本金 | 142億2163万5000円 (出資金、2022年3月31日現在)[1] |
| 売上高 | 34億6400万円 (経常収益、2025年3月期)[2] |
| 経常利益 | △24億3000万円 (2025年3月期)[2] |
| 純資産 | 199億2656万8000円 (2022年3月31日現在)[1] |
| 総資産 | 2575億6870万7000円 (2022年3月31日現在)[1] |
| 従業員数 | 173人(2025年11月1日現在)[3] |
| 支店舗数 | 15店(本支店) |
| 決算期 | 3月31日 |
| 会計監査人 | 鈴木和郎公認会計士事務所 公認会計士鈴木一徳会計事務所[1] |
| 外部リンク | https://www.iwaki-shinkumi.com/ |
| いわき信用組合のデータ | |
|---|---|
| 法人番号 | 5380005005753 |
| 貸出金残高 | 1218億1400万円 |
| 預金残高 | 1938億5100万円 |
| 特記事項: 2025年3月31日現在[2] |
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いわき信用組合(いわきしんようくみあい)は、福島県いわき市に本店を置く信用組合。
通称・略称はいわしん[4]。
ATMでは、しんくみ お得ねっと提携信用組合のカードによる出金は自組合扱いとなる。
沿革[5]
- 1948年7月 江名町信用組合として設立。
- 1957年6月 磐城信用組合に改称。
- 1966年9月 いわき信用組合に改称。
- 1994年1月 全国信用組合共同センター(SKC)に加盟。
- 2002年7月 つばさ信用組合と合併。
- 2011年3月 東日本大震災により楢葉支店は本庁前支店にて臨時営業することになる[6]。
- 2012年1月 株式会社整理回収機構より175億円の公的資金を注入(10年返済)。全国信用協同組合連合会からも25億円を得て資本増強を実施[7]。
- 2016年3月 楢葉支店、臨時営業店舗を本庁前支店から四倉支店とする[6]。
- 2019年3月 楢葉町の笑ふるタウンならは内にてATM業務開始(あぶくま信用金庫が幹事行、営業休止中の楢葉支店の出張所扱い、通帳記入不可)[8]。
- 2020年4月 企業経営者やその後継候補の婚活支援でヒューレックス・グループと提携[9]。
- 2024年11月 一連の不祥事(後述)により江尻次郎会長が引責辞任
- 2025年5月 東北財務局から銀行法に基づく業務改善命令を受け[10][11]、本多洋八理事長ら経営陣の引責辞任を発表[12]。
店舗[17]
- 本店 - いわき市小名浜花畑町2-5
- 小名浜支店 - いわき市小名浜字中明神町10
- 江名支店 - いわき市江名字北町133
- 塩屋崎支店 - いわき市平沼ノ内諏訪原二丁目16-4
- 植田支店 - いわき市植田町南町1-1-1
- 勿来支店 - いわき市勿来町窪田町通1-128-1
- 平支店 - いわき市平六町目1-7
- 玉川支店 - いわき市小名浜住吉字道下36
- 泉支店 - いわき市泉町滝尻字菅俣24
- 本庁前支店 - いわき市平字童子町3-13
- 内郷支店 - いわき市内郷綴町榎下60
- 楢葉支店(休止中) - 双葉郡楢葉町大字下小塙字広畑14-1
- 四倉支店 - いわき市四倉町字東2-168-4
- 好間支店 - いわき市好間町中好間字下川原43-1[18]
- 湯本支店 - いわき市常磐湯本町天王崎120
- 郷ヶ丘支店 - いわき市郷ケ丘2-7-17
- 総合ローンセンター - いわき市鹿島町久保字反町7-4
- ATMコーナー
- 旧神谷支店ATMコーナー - いわき市平中神谷字南鳥沼35-2
- 自由ヶ丘ATMコーナー - いわき市自由ケ丘14-10
- 笑ふるタウンならはATMコーナー(あぶくま信用金庫が幹事行) - 双葉郡楢葉町大字北田字中満256番地
役員・理事
- ※2025年7月現在
- 理事長 - 金成 茂(経理部長より昇格)
- 常務理事 - 菅波 茂(総合企画部副部長より昇格)、森貞 隆之(全信連より出向)
- 常勤理事 - 片野 憲一(留任)、持館 久徳(事業支援部副部長より昇格)
- 非常勤理事 - 清水 淳子(夕月代表取締役・留任)、猪狩 達宏(真砂不動産代表取締役・留任)、丹野 勇雄(丹野公認会計士税理士事務所・留任)、奥瀬 円(社会保険労務士法人HRM総合事務所・留任)
- 常勤監事 - 野村 貢(経理部副部長より転属)
- 員外監事 - 武藤 行典(司法書士武藤行典事務所・留任)、國井 達夫(國井法律事務所・留任)
歴代理事長
- 初代 金成茂男 - 1948年 - 江名町信用組合理事長として
- 2代
- 3代
- 4代 新妻長蔵 - のち名誉会長
- 5代 大和田國一 -
- 6代 鈴木勇夫 - 1992年? - 2001年、新妻長蔵の女婿[19]
- 7代 四家栄安 - 2001年 - 2004年、夕月代表取締役、急逝[20]
- 8代 江尻次郎 - 2004年 - 2020年、のち会長に
- 9代 本多洋八 - 2020年 - 2025年、不祥事で引責
- 10代 金成茂 - 2025年 -
不祥事
2024年11月、元職員によるX上での公表を受けた全国信用協同組合連合会からの指摘で内部調査を行ったところ、以下の不祥事が発覚、第三者委員会が設置され、会長や理事長ほか役員理事合わせて9名が引責辞任した[21]。
- 長期間の迂回融資
2008年7月より2011年2月まで元会長を含む3人の代表理事により、貸付リミットである10億円超の本人や親族名義等を使用した、4代理事長・新妻長蔵、及び6代理事長・鈴木勇夫の親戚[19]である大口融資先への迂回融資が発覚[22][23][24]。
- 職員による着服隠蔽
2009年6月に副支店長による現金20万円の着服が発覚するも、すぐ戻したため当時の支店長が信組本部に隠蔽、結果的に金融庁に報告されなかった[24]。
- 支店職員による4,500万円[25]横領の隠蔽
2014年7月に当時の支店係長が4,500万円を横領するも、元会長を含む当時の経営陣がこれを隠蔽したことが発覚[22][23][24][26]。
さらに、2025年5月には以下のような不祥事も明らかになった。
- 預金者名義での口座偽造・架空融資
2011年頃から預金者名義で口座を偽造し、大口取引先への融資が不良債権化したことを隠すために使っていた疑いがあることが発覚。組合員の求めで福島地方裁判所いわき支部が保全したリストには、2024年秋時点で約90口座、計17億円超の架空融資が記されていた。実行の指示は当時の代表理事4人のうちの審査部長兼務者が主導したとされる。なお、金融庁には逐次報告していると当初は話していたが、のちに虚偽報告だったことが判明[27][28][29]。2025年5月29日に東北財務局から銀行法に基づく業務改善命令を受けた[11]。翌30日には第三者委員会が調査結果を公表し、ペーパーカンパニーや架空口座を用いた不正融資の総額は計約247億円に上ると認定した[30][31]。
- 街宣活動停止のための資金提供疑惑
上記の不祥事やそれ以前の事情に対する本店や幹部宅への右翼団体の街宣活動を止めさせるため、1992年頃から[32]反社会的勢力やゆすりに来た複数の情報誌経営者らに[33]に約10億円を支払っていたことが、第三者委員会で明らかになった使途不明金9億5000万円の支出先を追っていた、経営陣交替後に新たに設けられた特別調査委員会の調査で発覚。2025年10月31日に金融庁は、11月17日から1ヶ月間の新規顧客に対する融資業務の停止などの一部業務停止処分や全役職員の研修受講を含む2度目となる業務改善命令を発出した[34][35][32][36][37]。
なお、特別調査委員会の調査により、不正融資の総額は279億8400万円に上方修正された[38]。返済や利息の254億3300万円を除いた25億5100万円が、不正融資先や反社会的勢力に提供されたとしている[36]。
脚注
- ^ a b c d “いわしんディスクロージャー誌2022” (PDF). いわき信用組合. 2022年8月28日閲覧。
- ^ a b c 「いわき信組、27億5600万円の赤字 25年3月期決算」【福島民友】2025年11月1日付
- ^ 厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システムより
- ^ いわしんについて(2020年4月22日閲覧)
- ^ “沿革|いわしんについて|いわき信用組合”. www.iwaki-shinkumi.com. 2024年9月28日閲覧。
- ^ a b “楢葉支店代行業務店舗移設のお知らせ”. いわき信用組合. 2024年10月2日閲覧。
- ^ “いわき信組、「震災復興」名目で公的資金 制度延長論を控え不祥事”. 朝日新聞DIGITAL (2025年5月30日). 2025年5月31日閲覧。
- ^ “『笑ふるタウンならは』ATM業務開始のご案内について”. いわき信用組合. 2024年9月29日閲覧。
- ^ いわき信用組合様との業務提携について ヒューレックス(2020年4月6日)2020年4月22日閲覧
- ^ 東北財務局>いわき信用組合に対する行政処分について(2025年5月29日付)
- ^ a b “いわき信組に業務改善命令 東北財務局「不正融資を長期隠蔽」、30日に調査結果公表”. 産経新聞. (2025年5月29日) 2025年5月29日閲覧。
- ^ “いわき信用組合に業務改善命令 本多理事長らは辞任”. 日本経済新聞. (2025年5月29日) 2025年5月30日閲覧。
- ^ 全信連>「役職員の異動および本部組織の変更について」(令和3年6月30日付)
- ^ 「不正融資のいわき信組、新理事長は前経理部長 預金は103億円減少」【朝日新聞】2025年6月13日付
- ^ いわ信>役員図
- ^ 「金融庁、いわき信用組合に再び業務改善命令へ 反社に資金提供疑い」【日経】2025年10月31日付
- ^ “店舗情報|いわき信用組合”. www.iwaki-shinkumi.com. 2024年9月28日閲覧。
- ^ いわき市好間町下好間字沼田115-1から移転(2012年12月17日)好間支店移転のお知らせ
- ^ a b 「新聞・テレビが報じない「いわき信組」【巨額不正融資問題】の根幹」【政経東北】2025年9月2日付
- ^ 「理事長交代で反社と再び癒着 いわき信組、資金は「無断借名融資」などで捻出」【福島民友】2025年11月2日付
- ^ “「不祥事件の発覚並びに第三者委員会の設置について」”. 2024年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年6月1日閲覧。【いわ信】2024年11月15日付
- ^ a b 「いわき信用組合が長年にわたり不適切融資 職員の横領事件も隠蔽 関与した理事会長は既に引責辞任【福島】」【福島テレビ】2024年11月15日付
- ^ a b 「福島のいわき信組で10億円超迂回融資か SNSに元職員名乗る告発、真偽調査で発覚」【産経】2024年11月15日付
- ^ a b c 「10億円超「う回融資」か…職員横領も隠ぺい いわき信用組合が複数不祥事公表 元職員名乗る人物の「X」投稿で判明 福島」【TVU】2024年11月15日付
- ^ 政経東北では2億3000万円と言っている
- ^ 「【いわき信用組合】繰り返された横領隠蔽」【政経東北】2025年10月2日付
- ^ 「顧客名義の口座を無断で偽造、架空融資 不良債権隠しか いわき信組」【朝日新聞】2025年5月19日付
- ^ 「『発言してもつぶされる』架空融資の指示逆らえず 信組元職員の悔恨」【朝日新聞】2025年5月19日付
- ^ 「いわき信用組合 口座偽造で架空融資か 経営難の取引先返済に充てる」【いわき民報】2025年05月19日付
- ^ “いわき信組、不正融資総額247億円 第三者委が報告書「背任罪の可能性」”. 時事通信. (2025年5月30日) 2025年5月31日閲覧。
- ^ “いわき信組不正融資、1293件で総額247億円 第三者委が報告書”. 朝日新聞. (2025年5月30日) 2025年5月31日閲覧。
- ^ a b 「いわき信組が一部業務停止へ 金融庁 無断借名融資から反社に資金提供と認定」【いわき民報】2025年10月31日付
- ^ 特別調査委員会調査報告書(公表版、2025年10月31日)
- ^ “資金提供先は反社会的勢力 いわき信組に業務停止・改善命令 金融庁”. 朝日新聞. (2025年10月31日) 2025年10月31日閲覧。
- ^ “不正融資問題のいわき信組、反社会的勢力に10億円支払い…「不正の口止め」名目で”. 読売新聞. (2025年10月31日) 2025年10月31日閲覧。
- ^ a b 「福島県のいわき信組、反社に10億円 金融庁が一部業務停止命令 刑事告発を検討」【福島民報】2025年10月31日付
- ^ 「理事長交代で反社と再び癒着 いわき信組、資金は「無断借名融資」などで捻出」【福島民報】2025年11月2日付
- ^ 「反社への資金提供10億円か いわき信組の調査委報告、不正融資総額は279億円に」【産経】2025年10月31日付
関連項目
外部リンク
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