『英文法研究』の発刊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 20:07 UTC 版)
大学院在学3年目となる1912年(大正元年)9月、『英文法研究』を研究社から発刊する。これは同年の7月まで『英語青年』誌上に連載されていた『英文典瑣談』及び『ディケンズと俗語の研究』に市河が加筆修正を加えて一書として纏めたもので、従来の規範文法から逸れた実際の言語使用における伝統文法への科学的な研究を企図していた。市河はデンマークのイェスペルセン、ノルウェーのシュトルム(Storm)、オランダのストフェル(Stoffel)などの言語学者による科学的な英語研究を基にして本書を著したという。本書では規範文法とは反する"such an one"や"It's me"、「none の用法、every, each 等を複数に扱うこと」などを多数の文学作品を中心とする用例から取り上げて、その語法の起源を推測している。市河はこの研究により日本の英語学の基礎を築いたと称されるようになり、また、本書は彼の出世作ともなった。英文学者の斎藤兆史は、善くも悪くも大正以降の日本の英語、英文学研究、英語研究に影響を及ぼしたと評している。
※この「『英文法研究』の発刊」の解説は、「市河三喜」の解説の一部です。
「『英文法研究』の発刊」を含む「市河三喜」の記事については、「市河三喜」の概要を参照ください。
- 『英文法研究』の発刊のページへのリンク