「幸福」と「知恵」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 08:26 UTC 版)
「エウテュデモス (対話篇)」の記事における「「幸福」と「知恵」」の解説
ソクラテスがクレイニアスを相手に、真正の「プロトレプティコス(哲学のすすめ)」の問答を披露する。 ソクラテスは「人間は誰でもうまくいく(幸福であること)を望む」のではないかと問う。クレイニアスも、同意する。ソクラテス、そのためには多くの「善いもの」を持っている必要があるのではないかと問う。クレイニアスも、同意する。ソクラテスは、「善いもの」として「富」「健康」「美しい身体」「良い出自」「権力」「尊敬」「思慮」「正義」「勇気」「知恵」などを挙げる。クレイニアスも、それらに同意する。ソクラテスは、最後に「幸運・僥倖・成功」(eutychia)を挙げる。クレイニアス、同意する。ソクラテスは、しかし最後に挙げた「幸運・僥倖・成功」(eutychia)と「知恵」は同じものなのではないかと問う、「知恵」を伴っていれば自ずと「幸運・僥倖・成功」(eutychia)が生じると。クレイニアスも、同意する。 ソクラテスは、ではただ「善いもの」を持っているだけで「幸福」になるか問う。クレイニアスは、否定する。ソクラテスは、ではただ「善いもの」を持っているだけではなく、それを「用いる」必要があるようだと述べる。クレイニアスも、同意する。ソクラテスは、それではただ用いればいいのか、それとも「正しく用いる」必要があるか問う。クレイニアスは、「正しく用いる」必要があると答える。ソクラテスは、「正しく用いる」ためには「知恵」が必要なのではないかと問う。クレイニアスも、同意する。 ソクラテスは、ではあらゆるものの中で「知恵」のみが人間を「幸福」にするし、「知恵」を愛さねばならないと指摘する。クレイニアスも、同意する。 以上の問答を通してクレイニアスを「知恵」へと向かわせることに成功したソクラテスは、エウテュデモス等に向かって、自分の拙い見本はこんなものだが、続いて彼らの術を見せてもらいたいと頼む。
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