SNK (2001年設立の企業)
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概要
設立当初
2001年(平成13年)8月1日、株式会社プレイモア(英: PLAYMORE CORPORATION )として設立[3]。元は旧エス・エヌ・ケイの系列会社だった。当初は版権管理業務を行う法務関係専門の企業であり、旧エス・エヌ・ケイを前身会社とするのは誤りである。同年10月30日のエス・エヌ・ケイ(旧社)破産時の入札で、同社の知的財産権を落札した。2003年(平成15年)7月、旧エス・エヌ・ケイ社の創業者である川崎英吉の許可を得て、株式会社SNKプレイモア[7](エス・エヌ・ケイプレイモア、英: SNK PLAYMORE CORPORATION)に商号変更した[注釈 1]。当時のコーポレートメッセージは「ドキ!ドキ!ドキ!」。
2005年に川崎がSNKプレイモアの代表取締役会長に就任。
設立から約5年間は、ゲーム関連の開発・販売等を日本や韓国のメーカーに外注していた。同じグループ会社だったブレッツァソフト、サン・アミューズメント、ノイズファクトリーの3社が主にゲーム開発や販売を担っており、一部のゲームでは、『森田将棋』の開発で知られる悠紀エンタープライズが開発を担っていた。なお、ブレッツァソフトは後にサン・アミューズメントに吸収合併、サン・アミューズメントはSNKネオジオになった後、SNKプレイモアに吸収合併された。ノイズファクトリーは後にSNKグループから脱退している。
一時期開発に係わっていたイオリスとメガ・エンタープライズは、金銭面でのスポンサーと言える。なお、イオリスがスポンサーだったのは2002年度末までで、メガ・エンタープライズは2007年に倒産した。
ネオジオ終了後のプラットフォーム
旧SNKから引き継いだ業務・民生向け共通プラットフォーム「ネオジオ」は既に開発から10年以上を経ており、いわゆる「枯れた技術」となった基本構造は解析され尽くしていた。海賊版対策やエミュレータ技術者との競争の前に様々な問題が噴出したため、2004年(平成16年)、社名変更直後のSNKプレイモアはネオジオシステムの終了を宣言する。
SNKプレイモアはネオジオに代わる業務向けプラットフォームとして一度はサミーがセガのドリームキャストを基に開発した「アトミスウェイブ」を採用する。その後、サン・アミューズメント改めSNKネオジオを吸収合併したことで、ようやく単独での販売・開発へとこぎつけた。しかし、その直後にセガとサミーは経営統合しセガサミーホールディングスが誕生する。サミーはパチンコ機事業に専念することになり、同社の業務・家庭用ゲーム事業はセガに一本化される。
この頃のセガ業務用ゲーム基板はアーキテクチャがほぼ同一のNAOMIが全盛でATOMISWAVE事業は縮小していたこともあり、2006年(平成18年)、『メタルスラッグ6』を最後にSNKプレイモアはATOMISWAVEプラットフォームでの開発を取りやめた。以後のゲームは旧SNK創設時代から関係の深かったタイトーのWindowsベースプラットフォーム「Type X2」で開発・販売されることになった。
事業の多様化へ
2000年代にゲームの自社開発を再開したSNKプレイモアは、業務用向けでは格闘ゲーム中心のスタンスは旧SNKと変わらないものの、コンシューマ向けに関してはシミュレーションやRPGなど、さまざまなジャンルの多様化を目指していた。市場の流れにあわせてか、萌えを意識したゲームも開発された。 ゲームアプリの開発、サイトの運営を始めとした携帯向けコンテンツの事業にも参入した。しかし各携帯電話会社による配信の制限に関する事情などが異なっているため、全ての機種の携帯電話で同じサービスを提供することは困難となっていた。実際に各会社のインターネットサービス(iモードやEZwebなど)に対応したバージョンによっては、1年以上も更新が行われていないこともあった。
パチスロ事業への参入
2004年にパチスロ事業に参入。第1弾となる『メタルスラッグ』から始まり、「KOF」(4号機版はゲームセンター専用機で、ホールに設置されたのは5号機版)や『餓狼伝説』など、同社のゲームタイトルをモチーフとしたものに加えて、完全オリジナルの機種もリリースしている。パチスロ機を精力的にリリースする一方で、2010年代に入るとゲームをあまり出さなくなり、『ザ・キング・オブ・ファイターズ』や『メタルスラッグ』と言った看板タイトルもパチスロかスマホアプリでしか出なくなった。
新参の中堅メーカーとして、ゲームメーカーとしての出自を活かして他社IP(知的財産権)ではなく完全自社IPをモチーフとした台や、「シスタークエスト」などの萌えスロを積極的にリリースしていたが、古参の大手メーカーに対してホールの導入率で苦戦していた。2013年には遊技人口が1000万人を割って全盛期の1/3となるなどパチンコ・パチスロ業界自体の縮小、規制強化など今後の先行きの不明瞭さや、2015年8月に同社を買収した中国のゲーム会社の意向もあり、2015年10月の「ビーストバスターズ」をもってパチスロ事業から撤退したと同時に、パチスロの製造拠点であった三木工場(兵庫県三木市)、パチスロの営業拠点であった東京営業所と大阪営業所をそれぞれ閉鎖し、2016年3月には2008年4月以来加盟していた日本電動式遊技機工業協同組合を退会した[8]。
パチスロ事業の撤退と同時にパチスロ事業の主力オリジナルコンテンツである『シスタークエスト』の知的財産権をパチスロ専業企業のハイライツ・エンタテインメントに売却し、実際に当社の筐体を流用する形でハイライツから続編をリリースされた[9]。ハイライツへの知的財産権売却に伴い、スマートフォン用ソーシャルゲームの『大進撃RPG!シスタークエスト』のサービスが終了した。同じパチスロオリジナル版権の『スカイラブ』の知的財産権は撤退後もSNKに残っているようで、主人公のラブ・ハートが『ザ・キング・オブ・ファイターズXIV』に参戦している。但し、パチスロのアフターサポートは継続される。
NEOGEO X
2000年代後半にはWiiのバーチャルコンソールやPlayStation 3/PlayStation Portableのネオジオステーションなど、他社のゲーム機向けに旧ネオジオ時代のゲームの配信を始めたほか、2012年に米TOMMO社が発売した携帯型ネオジオ互換機NEOGEO Xにライセンスを提供した。
- 2012年(平成24年)には、携帯ゲーム機『NEOGEO X』にライセンス提供した[10]。
- 2013年10月には、ライセンス契約先による契約外商品(無許諾商品)の販売等を理由に上記ライセンス契約を解除した[11]。
なお、当該ライセンス契約先は、2011年にも無許諾商品を販売したとして他社に訴えられている[12][13]。
37Games傘下に
海外ではMVS/ネオジオ時代から中国・韓国を中心とするアジア地域で強みを持ち、日本ではパチスロ事業がほぼ本業となっていた2010年代でもアジア地域では未だにアーケードでの人気が高い。特に中国では『拳皇』と呼ばれる『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズは絶大な人気を持ち、e-Sportsの大会なども盛んである。SNKにはもともと日本でリースアップしたMVS筐体を途上国に販売する事業があり[14]、この事業は旧SNK倒産後にSNKプレイモアとなった後も継続され、結果として日本中にあったレンタルMVS筐体が中古のソフトとともに回収されて中国に流れ、2000年代中盤には中国全土にMVS/ネオジオが普及してしまった状況と、中国の地方都市の小規模なゲームセンターでは大量に流通していて安価でしかも小規模ロケーションに適したMVS/ネオジオ時代の旧作が長期にわたって稼働されているという事情から、2010年代中盤に至っても旧SNK全盛期の『KOF'97』や『KOF'98』の人気が特に高く、中国の地方都市のプレイヤーがKOFの世界大会で優勝するのも珍しくない。SNKプレイモア(当時)より正規ライセンスを受けて中国のオンラインゲーム会社37Gamesが2015年にリリースした『拳皇97OL』(『THE KING OF FIGHTERS '97 ONLINE』)は中国のApp StoreやテンセントQQプラットホームでトップを独走するなどスマホ時代でもその人気は衰えていない。『餓狼伝説』シリーズや『メタルスラッグ』シリーズなども人気で、現地でPC版や携帯アプリ版もリリースされている。
2015年8月、川崎会長夫妻が所有するSNKプレイモア株を中国のゲーム会社・上海37Games[注釈 2]が取得したことが発表。川崎会長が持つ旧SNKおよびSNKプレイモアの全てのライセンスIPも同社へと移管される。
37Games傘下となった2015年9月、『THE KING OF FIGHTERS XIII』以来5年ぶりとなるコンシューマ復帰作にしてKOFシリーズの新作『THE KING OF FIGHTERS XIV』の制作が発表された。ゲーム方面のIPを活かしたい37Gamesの方針もあり、同年11月にパチスロ事業からの撤退を発表した[15]。
久しぶりのコンシューマでの自社開発となる『KOF XIV』の開発に際して、旧SNKで『餓狼伝説』シリーズなどを制作していたSNKの元開発者を呼び戻したり、スマホゲーム開発で実績のある37Gamesとの技術提携を強化するなど、買収後はゲーム開発体制を強化しつつある[16]。
2016年には休眠会社であったSNKエンタテインメントを復活させ、同社において受託開発およびライセンス事業を行っている。ライセンシング事業としては、KOFやサムライスピリッツなどの自社コンテンツを活用したライセンス商品の展開のほか、他社のゲームに参戦するなどのコラボも行っている。2017年よりKOF初のフル3DCGアニメとなる『拳皇命運 THE KING OF FIGHTERS: DESTINY』(全24話)が配信開始。同社ではグッズの販売などのマーチャンダイジング事業も行っており、2017年にはSNK公式のオンラインショップを開設。
2016年4月、ゲームメーカーとしての原点に立ち返るため、コーポレートメッセージを「ドキ!ドキ!ドキ!」からMVS/ネオジオ時代と同じ「The Future Is Now」に戻すことを発表した。2016年12月1日より株式会社SNKへ商号変更[注釈 1][17]。
2017年5月26日、株主総会においてSNKエンタテインメントと株式会社ネオジオとの合併を承認決議。存続会社はSNKエンタテインメントで、効力発生日は2017年7月1日[18]。
SNKでは2018年を「40周年記念イヤー」として様々な記念企画の実施を発表しているが、ここで言う「40周年」は旧社が「株式会社新日本企画」として設立された1978年を起点としている。
EGDCによる買収
2020年11月、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が設立したミスク財団傘下のElectronic Gaming Development Company(略称EGDC)がSNKの発行済株式の33.3%取得予定を発表し、2021年3月に実現。筆頭株主となった。
4月にはサウジアラビアから派遣された取締役会役員3名が就任。EGDCが買い増しによる51%取得の意向を表明[19]。2021年12月に株式公開買付け(TOB、買付期間は12月17日 - 2022年2月10日。決済の開始日は2022年2月18日。公開買付代理人は三田証券。)に着手[20]し子会社化が進められた。2022年2月時点で取得率は96.18%まで上昇[21]した。
注釈
- ^ a b 旧SNKは登記上の社名は「株式会社エス・エヌ・ケイ」だったが、当時の法務省がアルファベットによる商号登録を認めなかったことによるもので、2002年の法改正により商号にアルファベットの使用が認められたため、現SNKはSNKプレイモアに商号を変更した当初からアルファベット表記を採用している。
- ^ 実際に買収したのは英Ledo Millennium社。Ledo社は楽遊科技(leyou technologies)を母体とする森宝グループの会社(投資ファンド)で、以前よりSNKプレイモアを買収する意向を示していた(ちなみに楽遊科技はゲームに興味を示す前は福建森宝食品と言う食品加工会社だった)。Ledo社は37Gamesや東方花旗証券(City Orient Securities、米シティグループ証券と上海東方証券の合弁会社)などが出資しているが、いずれにせよ買収は37Gamesの意向で、この買収によってSNKプレイモアは実質的に37Gamesのグループ会社となる。
出典
- ^ 2021年7月期有価証券報告書 - 株式会社SNK 2021年10月29日
- ^ a b c d e f g h “第22期 決算公告(2023年7月期)”. プロネクサス. 2023年11月6日閲覧。
- ^ a b “企業情報”. 株式会社SNK. 2023年10月23日閲覧。
- ^ a b 株式会社SNK『臨時報告書』(レポート)2021年2月14日。
- ^ 株式会社SNK『第20期(2020年8月1日 - 2021年7月31日)有価証券報告書』(レポート)2021年10月29日。
- ^ 株式会社SNK 定款 第1章第1条
- ^ “社名変更のお知らせ”. 株式会社SNKプレイモア (2003年7月). 2005年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年10月27日閲覧。
- ^ a b 日電協の歩み日本電動式遊技機工業協同組合
- ^ 演出開発、サポート、スマートフォン用アプリのリリースはSNKが引き続き担当している。
- ^ “[海外ゲームニュース]NEO GEO携帯機が発表!? - ファミ通.com”. エンターブレイン (2012年3月16日). 2012年3月17日閲覧。
- ^ “[TOMMO Inc.とのライセンス契約解除のお知らせ]”. [SNKプレイモア] (2013年12月2日). 2014年2月5日閲覧。
- ^ “[Atari Sues Tommo Over Flashback Knock-Offs]”. GamePolitics (2011年7月7日). 2014年2月5日閲覧。
- ^ “[Atari sues maker of alleged knockoff game console]”. Neowin (2011年7月7日). 2014年2月5日閲覧。
- ^ 元SNKの平野典正のtwitter
- ^ ゲーム事業の体制強化とパチスロ事業の撤退に関するお知らせ - SNKプレイモア・2015年11月2日
- ^ SNKプレイモア、パチスロ事業から完全撤退を発表 - GAME Watch
- ^ 商号変更のお知らせ - SNK・2016年11月1日
- ^ 合併公告、2017年5月29日付「官報」(号外第111号)90頁。
- ^ “Appointment of Three Board Members from the Mohammed Bin Salman Foundation (MiSK Foundation) Announced at Shareholder Meeting of Japanese Gaming Company SNK”. 2022年4月6日閲覧。
- ^ “サウジアラビア企業、KOSDAQ上場でゲームコンテンツ事業のSNKをTOBで子会社化へ”. 2022年4月6日閲覧。
- ^ “Results of Tender Offer for the Korean Depository Receipts of SNK Corporation by Electronic Gaming Development Company”. 2022年4月6日閲覧。
- ^ “人気漫画に他社のゲームキャラが…ドラクエの「スクエニ」を著作権侵害容疑で捜索 大阪府警”. MSN産経ニュースWest (2014年8月6日). 2014年8月12日閲覧。
- ^ “中国37GamesがSNKプレイモアの買収を発表。KOF、『餓狼伝説』、『メタルスラッグ』などIPの活用を目指す”. エンターブレイン (2015年8月7日). 2015年8月11日閲覧。
- ^ “和解による紛争の解決に関するお知らせ SQUARE ENIX”. スクウェア・エニックス (2015年8月26日). 2015年9月11日閲覧。
- ^ “SNKプレイモアが12月1日付で、社名をSNKへと変更”. エンターブレイン (2016年11月1日). 2016年11月1日閲覧。
- ^ “サウジ皇太子の投資会社EGDCがSNKを買収 外山公一氏が社長退任 葛志輝会長が兼任に”. ソーシャルインフォ (2020年11月27日). 2020年11月27日閲覧。
- ^ Yuki Kurosawa (2020年11月27日). “SNKの株式をサウジアラビア企業が取得。王族皇太子の出資により、33.3%の株を有する筆頭株主に”. アクティブゲーミングメディア. 2020年11月27日閲覧。
- ^ a b 株式会社SNK『臨時報告書』(レポート)2020年11月27日。
- ^ 『新代表取締役社長および新社外取締役就任のお知らせ』(プレスリリース)株式会社SNK、2021年10月28日 。2021年11月1日閲覧。
- ^ Electronic Gaming Development Company『公開買付届出書』(レポート)2021年12月17日。
- ^ 株式会社SNK『意見表明報告書』(レポート)2021年12月17日。
- ^ 株式会社SNK『第21期中(2021年8月1日 - 2022年1月31日)半期報告書』(レポート)2022年4月27日。
- ^ “当社株式の韓国取引所(KOSDAQ)上場廃止に関するお知らせ” (PDF). 株式会社SNK (2022年5月18日). 2022年5月20日閲覧。
- ^ “本社移転のお知らせ”. 2023年3月1日閲覧。
- ^ ソースアルゼ批判本配布は名誉棄損 ゲームソフトメーカー本社を家宅捜索 - ウィキニュース
- ^ ソース:[1],沿革|企業情報|サミー パチンコ・パチスロメーカー
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