MIDI RP

MIDI

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/12 08:43 UTC 版)

RP

RP (Recommended Practice) とは、MIDI規格策定後、利便性を高めるための推奨実施例として拡張された規格である。現在すでに複数の拡張規格がAMEIMMAにより承認されており、いずれも共通規格としてMIDI規格に組み込まれている。

スタンダードMIDIファイル

スタンダードMIDIファイル(SMF)とは、MIDI機器やMIDIメッセージを用いる演奏に関するデータの保存形式であり、メーカー毎のソフトやハードに関係なく使用できる共通のファイルフォーマットである。拡張子は.mid。いわゆる「MIDIデータ」は演奏形式である前述した「MIDIデータフォーマット」の略称であるが、このスタンダードMIDIファイルを指すべく拡大使用される場合がある。

Opcode社により独自規格として提案されたが、1991年7月AMEIMMAによりRPの第1号(RP-001)に追認された。

GM

GMシステムレベル1、通称GM (General MIDI) とは、それまで各メーカー毎に異なっていた音色配列を統一することを目的として策定されたRPである。1991年に、RP-003にて定義されている。音色配列の他、最低同時発音数や音色数、コントロールチェンジの効き具合といったことも指定されている。

さらに、従来のGMでは時代の進化に伴い補いきれなくなってきた部分を補完するため、GMシステムレベル2 (GM2) が上位規格として拡張された。GMとは完全な上位互換性をもつ。

のちに、主に携帯電話着信メロディの制作用途として、General MIDI Lite (GML) も上位規格として拡張された。

  • 1991年 - GMシステムレベル1 - RP-003
  • 1999年 - GMシステムレベル2 - RP-024
  • 2001年 - General MIDI Lite - RP-033

DLS

DLS (Downloadable Sounds) は、SMFデータをサウンドカードなどの音源機器に転送して再生するために策定されたRPである。1997年に、RP-016にて定義されている。再生する音源が異なると、作者の意図しない音色で再生されてしまうSMFとは異なり、DLS対応機器ならほとんど同じ音での再生を行なうことが可能となる。拡張子は.dls。

のちに、上位規格であるDLSレベル2.1や、携帯電話向けのMobile DLSが拡張された。

  • 1997年 - DLSレベル1.0 - RP-016
  • 1999年 - DLSレベル1.1 - RP-016
  • 2000年 - DLSレベル2.0 - RP-025
  • 2000年 - DLSレベル2.1 - RP-025
  • 2003年 - Mobile DLS - RP-041

XMF

XMF (eXtensible Music Format) は、MMAによって提案された新しい音楽ファイルフォーマットである。SMFや、音声ファイルであるWAVなどが一つのファイルとして格納できるようになっている。

複数回改稿されており、それぞれのバージョン毎にRPとして承認されている。

  • 2001年 - XMFメタファイルフォーマット1.00 - RP-030
  • 2003年 - XMFメタファイルフォーマット1.01 - RP-039
  • 2004年 - XMFメタファイルフォーマット2.00 - RP-043

また、複数の用途に向けて、複数のタイプが定義、検討されている。

  • 2001年 - XMFタイプ0 アンド XMFタイプ1ファイル - RP-031
  • 2004年 - XMFタイプ2/Mobile XMFファイル - RP-042
  • 2007年 - XMFタイプ3/Mobile オーディオクリップ for Mobile XMFファイル - RP-045
  • 20XX年 - XMFタイプ4/Interactive XMF (iXMF)

XMFに関する拡張規格も用意されている。

  • 2003年 - UnPackerID for ZLIB - RP-040
  • 2006年 - ID3 Meta-data Tags for XMF - RP-047

MIDIショーコントロール

MIDIショーコントロール (MIDI Show Control, MSC) とは、照明や映像機器など、ショーの演出をコントロールする目的で策定されたRPである。1991年にRP-002、のちにRP-014にて定義されている。

MIDIタイムコード

MIDIタイムコード (MIDI Time Code, MTC) は、同期システムを組むことを目的として策定されたRPである。1987年に、RP-004にて定義されている。

MIDI規格策定時に、同時に策定されたMIDIタイミングクロックは絶対時間を持たなかったが、SMPTEの普及につれMIDI上でも絶対時間を持ったクロックが必要となってきたことが、MTC策定の背景である。

MIDI策定団体であるMMAが中心に提案したため、RPのほかにMMA-0001としても定義されている。

記譜情報

記譜情報はMIDIデータ(MIDIメッセージの集合)を楽譜上に音符として表示するために策定されたRPである。RP-005、RP-006にて定義されている。

ファイルダンプ

ファイルダンプとは、MIDIケーブルを使ってSMFデータを転送するために策定されたRPである。RP-009にて定義されている。

MIDIマシンコントロール

MIDIマシンコントロールとは、システムエクスクルーシブメッセージを用いてMTRVTRを制御するために策定されたRPである。1992年に、RP-013にて定義されている。

SMF with Lyrics

SMF with Lyrics (SMF Language and Display extensions) とは、SMFのメタイベントとして用意されている歌詞格納機能を拡張したRPである。1999年に、RP-026にて定義されている。

メタイベントと違い、表示を目的としており、曲タイトル、作曲者名、作詞者名、歌詞やふりがなを格納できる。カラオケの歌詞表示や楽譜上の歌詞表記などの用途を想定されている。また、日本語 (Shift JIS) も使用できる。

MIDI Media Adaptation Layer for IEEE-1394

MIDI Media Adaptation Layer for IEEE-1394は、MIDIインタフェースなどのMIDI機器をIEEE 1394を用いて接続することに関するRPである。2000年に、RP-027にて定義されている。

SP-MIDI

SP-MIDI (Scalable Polyphony MIDI) は、あらゆる音源で最適なデータを再生するために策定されたRPである。2002年に、RP-034、RP-035にて定義されている。

例えば、通常だと24ボイス(パート数)を持つ音源用に作られたデータを16ボイスの音源で再生すると、8ボイス分は無視されてしまう。このままではデータ制作者の意図した再生ができないため、従来なら24ボイス用、16ボイス用と複数のデータを用意する必要が有った。このSP-MIDIの規格に従うと、ひとつのデータに前もって複数環境分の情報を収録できるので、少ない工数で、あらゆる音源で問題なく再生が出来るようになる。この技術は主に携帯電話向けに使用される。

MIDI XML

MIDI XML ("MIDI Names, Device Types, & Events in XML") は、SMFをXMLで記述することを目的として策定されたRPである。2003年に、RP-038にて定義されている。


  1. ^ a b c 藤本健 (2019年1月19日). “MIDIが38年ぶりのバージョンアップでMIDI 2.0に。従来のMIDI 1.0との互換性を保ちつつ機能強化|藤本健の “DTMステーション””. 藤本健の “DTMステーション”. 2019年4月24日閲覧。
  2. ^ 音楽電子事業協会 2016, p. 2-10.
  3. ^ ローランドとヤマハがMIDI規格の互換性向上で協力
  4. ^ ローランド創業者・梯郁太郎さんが受賞 米グラミー技術賞”. スポニチアネックス. スポニチアネックス (2013年2月10日). 2013年2月20日閲覧。
  5. ^ 劉尭 (2017年6月7日). “音楽電子事業協会、MIDI 1.0規格書を無償ダウンロード提供”. PC Watch. インプレス. 2017年6月7日閲覧。





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