蔵王連峰
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/30 17:25 UTC 版)
名称
蔵王連峰は山々の集まりの総称であり、蔵王山という単独峰があるわけではない[1][2][3][4]。蔵王連峰の中で、宮城県側の部分が「宮城蔵王」、山形県側の部分が「山形蔵王」とも呼ばれる[1][2]。また、蔵王連峰を北蔵王、南蔵王の二つに分ける区分や、御釜などがある部分を中央蔵王として、その東西南北を東蔵王、西蔵王、南蔵王、北蔵王の五つに区分する見方もある[注 1][1][2][7]。
蔵王山の名称は、蔵王権現がこの山に祀られた事に由来する[1][2][3][4]。
蔵王連峰は古くは刈田嶺、不忘山(わすれずのやま)と呼ばれた。刈田嶺の文献上の初出は平安時代の歴史書『続日本後紀』の承和11年8月17日の条である[3]。不忘山は歌に見られる。平安時代の和歌集『古今和歌六帖』に「みちのくに あぶくまがはの あなたにや 人わすれずの 山はさかしき」という歌がある。また『枕草子』の第13段「山は」の部分にわすれずの山が表れる[2]。ただし、歴史的な文献に表れる蔵王関係の山が現在のどの山に相当するのか、確定はしがたい[1][2]。明治の初め頃の文献においても、蔵王嶽、不忘山、刈田嶽と表記の揺れが見られた[1]。現在、不忘山と呼ばれる山は、かつては南森、御前岳と呼ばれていた[2]。
蔵王山の読み方
1931年(昭和6年)、蔵王連峰がまたがる宮城県の柴田郡川崎村[注 2]、刈田郡宮村[注 3]、山形県の南村山郡堀田村[注 4]および中川村[注 5]の計4村が国土地理院に「蔵王山」の読み方を「ざおうざん」で申請して、これが表記登録された[8]。
2015年(平成27年)4月より、火口周辺警報を報道するテレビやラジオにおいて「ざおうざん」と連日称呼されたことで、「ざおうさん」の読み方に親しんでいる人々から関係諸機関に対して問い合わせが相次いだ[8]。山形県内8小中学校の校歌の歌詞はいずれも「ざおうさん」という読みで、地元住民には「ざおうさん」のほうがなじみが深いという意見もある[9]。また、角川書店や平凡社の地名辞典でも「ざおうさん」と読みを付けている[9]。2017年(平成29年)6月30日の山形市議会6月定例会の本会議において、「ざおうさん」に表記変更を求める意見書が賛成多数で可決された[8]。ただし、「ざおうざん」と呼んでいる地域も一方にはあるとのことであり[9]、同日時点で関係自治体の全てが表記変更に同意してはいない。
注釈
- ^ 東西南北それぞれの蔵王を冠した施設として、旧西蔵王有料道路、山形県道167号妙見寺西蔵王公園線、西蔵王テレビ・FM放送所、宮城県道51号南蔵王七ヶ宿線、宮城県道254号南蔵王白石線、南蔵王青少年旅行村、東蔵王ゴルフ倶楽部などがある。
- ^ 現在の川崎町。
- ^ 現在の蔵王町の一部。
- ^ 現在の山形市の一部。
- ^ 現在の上山市の一部。
- ^ 屏風岳は宮城県における最高峰である。
- ^ 白鳳と西暦の対応は複数ある。宮城県神社庁の記述では、白鳳8年を天武天皇在位期間中であるとしているため、672年を白鳳元年とする方が採用されている。
出典
- ^ a b c d e f g h i 『宮城県の地名』23-24頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 『山形県の地名』42-45頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 『角川日本地名大辞典4 宮城県』256-257頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l 『角川日本地名大辞典6 山形県』335-336頁。
- ^ a b c d 蔵王連峰一自然と人とのかかわり- 山形県立博物館、2020年7月18日閲覧。
- ^ a b 火山監視・情報センターにおいて火山活動を24時間体制で監視している火山(常時観測火山)(気象庁)
- ^ 仙台八十八景(仙台放送 1977年10月1日発行) p.140
- ^ a b c <蔵王山>呼び名「ざおうさん」にして(河北新報 2017年7月1日)
- ^ a b c “「ざおうさん」に改名できる? 県内で変更例、関連市町の結束が鍵”. 山形新聞. (2017年2月11日) 2017年2月12日閲覧。
- ^ 吉田英嗣:土砂供給源としてみた日本の第四紀火山における巨大山体崩壊 『地学雑誌』 2010年 119巻 3号 p.568-578, doi:10.5026/jgeography.119.568
- ^ 八木浩司, 早田勉, 井口 ほか、蔵王火山および白鷹火山の巨大山体崩壊発生時期 『第四紀研究』 2005年 44巻 4号 p.263-272, doi:10.4116/jaqua.44.263
- ^ 及川輝樹、伴雅雄、歴史時代の蔵王火山の噴火史とその様式 -歴史記録と比較火山学に基づく復元- 『日本地質学会 第120年学術大会』(2013仙台) セッションID:R3-O-4, doi:10.14863/geosocabst.2013.0_084
- ^ 蔵王山 有史以降の火山活動 気象庁
- ^ 平成26年 No.32 週間火山概況 (平成26年8月1日〜8月7日) 気象庁
- ^ 火山名 蔵王山 噴火警報(火口周辺)仙台管区気象台、平成27年4月13日
- ^ 蔵王山の火口周辺警報(火口周辺危険)を解除-気象庁2015年6月16日
- ^ 蔵王山で火山性微動を観測 注意呼びかけNHK NEWS WEB2015年11月30日12時12分配信
- ^ 蔵王山の噴火警戒レベルを2へ引上げ気象庁、2018年2月1日。
- ^ 蔵王山の噴火警戒レベルを1へ引下げ気象庁、2018年3月6日。
- ^ 蔵王山 気象庁観測点一覧表 気象庁
- ^ 東北大学蔵王山総合観測
- ^ 不忘山から世界平和を 公園整備へ | 河北新報オンラインニュース - 河北新報
- ^ “蔵王ロープウェイ”(蔵王ロープウェイ)2018年12月7日閲覧。
- ^ “蔵王中央ロープウェイ・蔵王スカイケーブル”(蔵王観光開発)2018年12月7日閲覧。
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