管狐とは? わかりやすく解説

管狐

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/25 13:26 UTC 版)

管狐(くだぎつね)とは、日本伝承における憑き物の一種である。長野県静岡県愛知県など中部地方、さらには関東地方南部、東北地方などの一部にも伝承がある。関東の一部では同様のオサキ伝承が知られる。


注釈

  1. ^ 参照:1903年の模写図[2]、および早稲田大学蔵1850年刊本の[3]木版画
  2. ^ 柳田は「文政五年の五月」とするが原図には「壬午の正月末」と付記される。
  3. ^ 原図は"御蔵前みせものの図"と題する。
  4. ^ これは柳田が「體一尺二三寸、尾が九寸五分」しているが、引き算で出したのは明らかで原文では"兒狐鼻の先より尾の末迄一尺九寸餘尾の長さばかり六寸五歩ほど身高さ背のところ八寸五歩ほど腹の廻り九寸二歩ほど"とある。
  5. ^ 『甲子夜話』では、"鼬よりやゝ大きく"という例に触れているが、これは善庵が(善庵随筆、後述)見たという皮の標本のことである[8]
  6. ^ 井上円了は「オサキギツネ」も"色白く、大きさは二十日鼠ほどなり"と記している[12]
  7. ^ 享和年間、信州伊那郡松島宿で医師の縣道玄(あがた・どうげん)が退治したと記される。
  8. ^ ただし上述したように『甲子夜話』でもすでに善庵の見聞が引用されている。
  9. ^ 原文は"鼬鼠"とあり[14]、デ・ヴィッセルは"weasels or rats (イタチかネズミ)"と英訳してしまっているが[15]、鼬鼠(いたち)とも読めるのであり、金子の資料では単に"大きさ鼬(いたち)ほどありて"と読み下している[16]
  10. ^ 井上円了は『妖怪學講義』において、自筆の新聞記事(『大日本教育新聞』)を引用し、管狐伝承を信濃国伊那郡の者に充てている。後述する江戸時代の『想山著聞奇集』も信州の管狐に関する項が見える。
  11. ^ 1742年刊行。松風庵寒流こと三坂春編(みさか・はるよし)の著。
  12. ^ 島根県に伝承される外道(ゲドウ)や[34]、広島・鳥取県などのトウビョウについても75匹を一団とする伝承があると柳田は指摘する[35]

出典

  1. ^ 田中聡江戸の妖怪事件簿』集英社、2007年、107頁。ISBN 978-4-08-720398-1https://books.google.com/books?id=71wnAQAAIAAJ&q=管狐 
  2. ^ a b c 三好想山〈信州にてくだと云怪獣を刺殺たる事〉田山花袋; 柳田国男編校訂「想山著聞奇集巻之4」『近世奇談全集』、博文館、563-566頁、1903年https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1882619/297 
  3. ^ a b 三好想山 (1850). “信州にてくだと云怪獣(くわいじう)を刺殺(さしころし)たる事有り”. 想山著聞竒集 巻之4. 青山直意. pp. 22裏25前. https://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/he13/he13_01191/he13_01191_0004/he13_01191_0004.html 
  4. ^ a b c d e f 柳田 1964, p. 61.
  5. ^ a b c d e f g 石塚 1959, pp. 28–34.
  6. ^ a b 井上 1896, pp. 193–194.
  7. ^ 柳田国男狐信仰のこと」『定本柳田國男集』 別3、筑摩書房、1964年9月25日、68–69頁https://books.google.com/books?id=tk0nAQAAIAAJ&q=飯綱 ; 電子テキスト
  8. ^ a b c d e f 松浦静山巻一 〇狐の種類にくだ狐と云ふ一種のもの..」『甲子夜話』《第一》國書刊行會、1910年、136–137頁https://books.google.com/books?id=6UC4ss5oowUC&pg=PP160 
  9. ^ a b c 『妖怪事典』142-143頁。
  10. ^ 物集高見管狐」『廣文庫』 6巻、廣文庫刋行會、1922年、149–150頁https://books.google.com/books?id=g4REAQAAMAAJ&pg=PP189 
  11. ^ 井上 1896, pp. 193–194引き『大日本教育新聞』記事:"信濃国伊予に、管狐と名くるものあり、其大きさは廿日鼠(はつかねづみ)ほどありて、尾は管を二ツに割りたるか如し故に管狐と云ふ、其躰は微小なれども、.."。
  12. ^ 井上円了 (1908). "をさきぎつね". 日本百科大辭典. Vol. 10. 三省堂書店. p. 610.
  13. ^ a b c 宮本 1980, pp. 103–104
  14. ^ a b 朝川, 善庵善庵随筆:信濃の飯綱権現」『百家説林』《正編上巻》吉川弘文館、1905年、672–674頁https://books.google.com/books?id=KR6b7GiwQQYC&pg=PP682。"たゞ批狐は別の一種にて。此方に云ふ管狐の樣なれど。似猫而黑とあれば。亦自一種なり。管狐は大さ鼬鼠ほど"。 
  15. ^ de Visser, M. W. (1908). “The Fox and the Badger in Japanese Folklore”. Transactions of the Asiatic Society of Japan 36 (3): 92, 122–124. https://books.google.com/books?id=3CISFSzaqWkC&pg=RA2-PA92. 
  16. ^ 金子 1975, p. 36.
  17. ^ 朝川, 善庵 著「善庵随筆:信濃の飯綱権現」、今泉定介畠山健 編『百家説林』 3巻、吉川半七、1891年、61–65頁https://dl.ndl.go.jp/pid/899109/1/159 
  18. ^ 「善庵随筆]」、『百家説林』所収[14][17]
  19. ^ 井上 1897, 第36節.
  20. ^ 石塚 1959, p. 32.
  21. ^ 井上 1896, p. 228.
  22. ^ 福田, 神田 & 新谷 2006, p. 365.
  23. ^ Inoue (1896), pp. 193–194.
  24. ^ 井上 1896, pp. 228–229.
  25. ^ 石塚 1959, pp. 22–23.
  26. ^ a b c 福田, 神田 & 新谷 2006, p. 40.
  27. ^ 柳田 1964, p. 103.
  28. ^ 小松和彦 著、田丸徳善; 村岡空; 宮田登 編「つきもの」『日本人の宗教 1 (情念の世界)』、佼成出版社、181頁、1972年https://books.google.com/books?id=qssZAQAAMAAJ&q=精進潔斎 
  29. ^ 柳田 1964, p. 105.
  30. ^ 『南信濃村史 遠山』長野県南信濃村、1983年
  31. ^ 柳田 1964, p. 70.
  32. ^ 柳田 1964, pp. 61, 67.
  33. ^ 柳田 1964, pp. 105–106.
  34. ^ 柳田 1964, pp. 70–71.
  35. ^ 柳田 1964, p. 79.
  36. ^ 小林庄次郎「本邦神話俗傳に見はれたる動物崇拜の一例」『東京人類學會雜誌』第21巻第237号、1905年、108-109頁、doi:10.1537/ase1887.21.91 


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