符号の規約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/22 21:42 UTC 版)
また「符号の規約」の用語は、虚数単位 i や 2π の因子を含む、より広い意味で用いられることもある。
相対論
計量符号
相対性理論において、計量符号は (+,−,−,−) か (−,+,+,+) のいずれかである。[注釈 1]それぞれ diag(+1,−1,−1,−1), diag(−1,+1,+1,+1) の計量テンソルに対応する。より高次元の相対性理論においても同様である: (+,−,−,−,…) と (−,+,+,+,…).
この符号の規約には幾つかの呼び名がある:
- (+,−,−,−)
- 時間的規約
- 粒子物理学の規約[注釈 2]
- 西海岸規約
- ほとんど負
- ランダウ・リフシッツの規約
- (−,+,+,+)
幾つかの著名な院生向けテキストにおける使用例:
- (+,−,−,−)
- ランダウ・リフシッツの『理論物理学教程』
- Louis Witten 監の Gravitation: An Introduction to Current Research
- Ray D'Inverno の Introducing Einstein's Relativity
- (−,+,+,+)
関係式 | (+,−,...,−) | (−,+,...,+) |
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4元運動量の成分表示 | ||
質量殻条件 | ||
ローレンツ力 | ||
マクスウェル方程式 | ||
正準交換関係 | ||
運動量演算子の座標表示 | ||
曲率
リッチテンソル Rμν はリーマンテンソル Rμναβ の縮約として定義されるが、その縮約には次の2通りの取り方がある:
- Rμν = Rαμαν
- Rμν = Rαμνα
リーマンテンソルの対称性により、この2つの定義は符号だけ異なる。またリーマンテンソルの定義についても符号だけを変える2通りの定義があり、これら2通りずつの定義を協働して用いることで、異なる規約についても同一の物理を与える。
その他の符号の規約
- 参照系における時間と固有時の符号選択: 未来を +、過去を − とする取り方が一般的
- ディラック方程式の ± の選択
- ゲージ理論や古典電磁気学における電荷、場の強度テンソル Fμν の符号
- 正周波数波の時間依存性:
- e−iωt(主に物理学で)
- e+iωt(主に工学で)
- フーリエ変換における積分核の指数関数の肩の符号: e−ikx か e+ikx か
- 誘電率の虚部の符号(時間依存性の符号選択により決定される)
- 光学における光学面の距離と曲率半径の符号
- 熱力学の第1法則 における仕事の符号
- テンソル密度を扱うときの計量テンソルの行列式の重みの符号
書籍や論文において使用される符号の規約は、冒頭で明示することが慣例となっている。
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