父の詫び状 作品誕生の経緯とその概要

父の詫び状

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/13 10:40 UTC 版)

作品誕生の経緯とその概要

向田は、1952年(昭和27年)から市川三郎のもとで脚本の書き方を学び、1960年(昭和35年)ごろから脚本家としてテレビドラマシナリオを中心に執筆活動をはじめた。『時間ですよ』などヒット作品を数多く生み出し、1970年代を代表する人気脚本家として華々しい活躍を続けていたが、1975年(昭和50年)、乳癌が発見され入院。幸い初期段階であったため、手術は無事に成功し、翌年には退院した。しかし手術時の輸血が原因で肝炎を発症したために施された絶対安静措置が手術創の拘縮を助長し、右腕が利かなくなる後遺症が残っていた。

そんな折、当時文藝春秋の相談役であった車谷弘から都市情報誌『銀座百点』への随筆連載を打診される。向田は自分をためしてみるため、左手で執筆することを思い立ち、連載の依頼を快諾した。向田は子供時代の自分の家庭の回想を中心に日常的な話題を盛りこんだ随筆を執筆。『銀座百点』の1976年(昭和51年)2月号から1978年(昭和53年)6月号にかけて約2年間にわたって連載を続けた。向田の随筆家としてのデビューとなったこの連載は好評で、連載終了後間もなく『父の詫び状』のタイトルで単行本化された。昭和における日本の家庭像を見事に描いたものとして[1]、今日では向田の代表的な随筆作品と評価されることが多い。

収録作品タイトル

表記は原本に拠る。

  1. 父の詫び状
  2. 身体髪膚
  3. 隣りの神様
  4. 記念写真
  5. お辞儀
  6. 子供たちの夜
  7. ストライキ
  8. 細長い海
  9. ごはん
  10. お軽寛平
  11. あだ桜
  12. 車中の皆様
  13. ねずみ花火
  14. チーコとグランデ
  15. 海苔巻の端っこ
  16. 学生アイス
  17. 魚の目は泪
  18. 隣りの匂い
  19. 兎と亀
  20. お八つの時間
  21. わが拾遺集
  22. 昔カレー
  23. 鼻筋紳士録
  24. 薩摩揚
  25. 卵とわたし

出版


  1. ^ ただし、エッセイストの高島俊男は著書『メルヘン誕生―向田邦子をさがして』(いそっぷ社、2000年、ISBN 978-4900963139)において、向田の家庭は戦前においてはきわめて経済的に恵まれた家庭であり、それが近年に「戦前のごく普通の一家」と思われていることには向田自身の無自覚な欺瞞もあると批判を行った。
  2. ^ ジェームス三木 - NHK人物録
  3. ^ 向田邦子原作 父の詫び状【NHKスクエア限定商品】 -TVドラマ”. Amazon.com. 2019年7月30日閲覧。


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