横紋筋肉腫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/25 02:28 UTC 版)
横紋筋肉腫 | |
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低エコー画像による頭蓋内の横紋筋肉腫 (耳後部にできた胞巣性の腫瘍) | |
分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 | 腫瘍学 |
ICD-10 | C49.M50 |
ICD-9-CM | 171.9 |
ICD-O | M8900/3-M8920/3 |
OMIM | 268210 |
DiseasesDB | 11485 |
MedlinePlus | 001429 |
eMedicine | ent/641 |
Patient UK | 横紋筋肉腫 |
MeSH | D012208 |
疫学
性比は男(1.4):女(1.0)[2]、小児がん全体に占める割合は3%程度[3]から 8%程度[4]とされ、1歳から4歳くらいまでは特に多く[5]、全体の2⁄3 が 6 歳以下[2]。乳児期、5-7 歳頃、10 歳代に発生のピークがある[2]。日本での発症者数は年間90人程度とされる[4]。
当該疾患の発症率を高める疾患として、リー・フラウメニ症候群、神経線維腫1型(NF1)、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群、コステロ症候群、ヌーナン症候群、MEN2A症候群などが知られているが、充分に解明されていない[4]。
横紋筋肉腫の特徴
全ての部位に発生する可能性はあるが、好発部位が存在する[3]。
- 頭頸部(約35%)、通常は眼窩または上咽頭道:学齢期の小児で最も多くみられる
- 泌尿生殖器系(約25%)、膀胱、前立腺、腟
- 四肢(約20%):青年で最も多くみられる
- 体幹/その他の部位(20%)
転移は患者の15-25%に発生し最も多い部位は肺である。骨、骨髄、リンパ節にも転移する[3]。
胎児型と胞巣型の2種類に大別される。
- 胎児型
- 特徴は、染色体11p15.5のヘテロ接合性の消失[3]。
- 胞巣型
- PAX3遺伝子をFOXO1(FKHR)遺伝子と融合させる転座t(2;13)、およびPAX7遺伝子をFOXO1(FKHR)遺伝子と融合させる転座t(1;13)と関連するもの[3][6]。
症状と症候
小児の典型例では、全身症状は現れない。腫瘍発生部位に触って判別出来る硬い腫瘤が認められる。深部に発生した腫瘍では近隣臓器が圧迫され、圧迫された臓器の機能障害や血尿、声質の変化、疼痛などが現れる。
- 眼窩および上咽頭
- 流涙、眼痛、眼球突出。
- 上咽頭腔
- 鼻閉、声質の変化、粘液膿性の分泌物。
- 泌尿生殖器
- 腹痛、触知可能な腹部腫瘤、排尿困難、血尿。
- 四肢
- 密着した硬い腫瘤が上肢または下肢のあらゆる部位。無症状のままリンパ節への転移。肺、骨髄
胎児型(ERMS)と胞巣型(ARMS)
小児の横紋筋肉腫は、病理組織学診断を目的とした、顕微鏡下での観察による腫瘍細胞の増殖パターン、及び形状に応じて[4]、胎児型(ERMS)と胞巣型(ARMS)との2大組織型亜型に分けられる[6]。胎児型は小児に多く、眼窩や頭頚部、泌尿生殖器系などに腫瘍ができることが多い。長期予後は比較的良好といえる[6]。また鼻腔、膣、膀胱など粘膜で覆われた管腔臓器にもできることがある。この場合は胎児型の特殊型である、ブドウの房状の組織所見が出現する[4]。一方、胞巣型は年長の子供や青年に多く、体幹や四肢に主に発生する。しかも転移や再発が起こりやすく、治療抵抗性[注釈 1]となりやすいため、胎児型よりも悪性である[6]。
胎児型と胞巣型はさらに以下のタイプに分けられる。
胎児型
- ブドウ状亜型 (botryoid variant)
- 紡錘細胞亜型 (spindle cell variant)
- 退形成亜型(anaplastic variant)
胞巣型
- 固形亜型(solid variant)
- 胎児胞巣混合亜型(mixed embryonal / alveolar) 胎児型と混在するため、混合型と診断される場合もある。
- 退形成亜型(anaplastic variant)
検査
血液検査、尿検査、画像検査、骨髄検査(生検)を組合せて行う。
- 画像検査
- 核磁気共鳴画像法、コンピュータ断層撮影、ポジトロン断層法
- ^ 森正樹, 今村好章, 前川秀樹, 法木左近, 都築秀明、「頬部に発生した胞巣型横紋筋肉腫の1例」 『日本臨床細胞学会雑誌』 2000年 39巻 6号 p.502-506, doi:10.5795/jjscc.39.502, 日本臨床細胞学会
- ^ a b c d e f 横紋筋肉腫 診療ガイドライン (PDF) 日本小児血液・がん学会
- ^ a b c d e 横紋筋肉腫 MSDマニュアル プロフェッショナル版
- ^ a b c d e 横紋筋肉腫 京都府立医科大学 小児科学教室
- ^ 横紋筋肉腫〈小児〉 国立がん研究センター 小児がん情報サービス
- ^ a b c d 菊地顕、細井創 「筋発生分化と横紋筋肉腫の発生病態 (PDF) 」『京府医大誌』122(6)、341-348、2013年。
- ^ 編集:特定非営利活動法人日本緩和医療学会、緩和医療ガイドライン作成委員会 5章 推奨と委員会合意3 治療とケアの実際 1. 医学的適応の検討『苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン』2010年版、2010年。 (PDF)
横紋筋肉腫と同じ種類の言葉
筋肉腫に関連する言葉 | 筋肉腫 胎児性横紋筋肉腫(たいじせいおうもんきんにくしゅ) 横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ) 平滑筋肉腫(へいかつきんにくしゅ) |
肉腫に関連する言葉 | 肉腫(にくしゅ) 横紋筋肉腫(おうもんきんにくしゅ) 軟骨肉腫(なんこつにくしゅ) 滑膜肉腫(かつまくにくしゅ) 子宮肉腫(しきゅうにくしゅ) |
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